表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ああ、私はただのモブ。  作者: かりんとう
初等科4年生
59/229

ケンカと浮気相手の正体

…………浮気を疑われて特別監査室に逃げ込んできたローザンヌ公爵。


「で、貴方は浮気をしてるんですか?」


「浮気じゃなくても疑われるようなことやってるんじゃねぇのか?」


それをさっきと違い落ち着いたアベルとヘンリーがローザンヌ公爵を問いつめる。


「してませんよ………こっちだっていきなり浮気者とか言われて困ってるんですから!」


「「本当に?」」


私はこの光景を眺めることしか出来ない。


「ベアドブーク公爵、私は貴方と違うんです!」


「なんだと、もう1回言ってみろ!腐れトマト野郎め、毎回おめえだけ返答が遅いせいでこっちがどんだけ宰相閣下にチクチク言われてると思ってんだ!」


「ヘンリー…それぐらい別に平気です、それに今はローザンヌ公爵の浮気について何かしないと……」


問いつめる事からだんだんとケンカに変わった、どうやらヘンリーとローザンヌ公爵は馬が合わない者同士であるようだ。


「もう良いです!他の所行きますから」


結局ローザンヌ公爵はヘンリーとケンカしたまま出ていった。ションちゃんはため息をつきながらヘンリーを諌める。


「ヘンリー、さすがにさっきのは言い過ぎでは?」


「ションちゃん、あれは今に始まったことじゃないんだ……親の代からの因縁みたいなもん」


ヘンリーのぶっきらぼうな物言いは敵をつくりやすい、それを本人ももう諦めているようであった


「ヘンリーも言葉には気を付けてくださいね。ふう、もう帰ります。フェルナンドと久々に食事をしたいので」


「私も帰ります、孫と一緒に本を読む約束をしてるので」


「私も帰らせてもらいます、早く妻に会いたいので」


アベルとカール様、そして愛妻家のジューンは出ていった。部屋には私とションちゃん、ヘンリーとパレスくんそしてシャルルの5人が残った。


「エリザベスさん、帰らないんですか?もうそろそろ帰った方がよろしいのでは?」


「そうね。帰る前にヘンリーに聞きたいんだけど、ローザンヌ公爵家で何か起きたって言う話を聞いたことはない?」


「う~ん、ねえな……教育大臣自体他の大臣に比べれば敵はそんなに生まれない職だし聞かないな、そういう話は」


じゃあ職場や家庭的な問題じゃないのかも……。


「エリザベス王女、でもどうしてぇローザンヌ公爵の事を?」


「それは__」


パレスくんの問いに対して私はマリアの事を話した。


「なるほど……そういうことですか」


納得したような顔のションちゃんとパレスくん、


「これ、さっきの浮気が関係あるんじゃねぇの?親の浮気って子供には堪えるものだからな、女の子なら尚更そうじゃねぇかな」


と言うヘンリー、親の浮気が子供にはどれほどの悪影響になるのかは私は分からないがヘンリーの考えには納得できた。


「ヘンリー、それを貴方が言いますか?」


ションちゃんの言うことにパレスくんもウンウンと頷いている。


「……言えねえか。」


「ベアドブーク公爵の事はともかくぅ、私はローザンヌ公爵を信じてますよぉ!猫好きに悪い人はいませんから」


「じゃあ私たちは取り敢えず帰るね……」


何故か3人はワイワイと盛り上がっていた、私とシャルルはそっと部屋から出ていった



あのヘンリーとローザンヌ公爵のケンカに翌日の朝にマリアは倒れた、彼女の顔は青白く、身体も枯れ木のように痩せ細っていた。


「マリア、マリア!………シャルル、急いでマリアを保健室に運ぶわよ!」


「はい!」


私が呼び掛けてもマリアはハッキリと返事を返すことも出来ない様子である、これは急いで保健室に運ばなければと思った。


「エリザベス王女、私も手伝います。」


そう立候補したのは、あのジスト=メルサイユだった。


「ありがとうございます。」


「淑女を助けるのは、紳士の役目です。」


なんとなくそういうところが攻略対象なのだと感じた、キラキラした漫画とかでよくあるエフェクトが背景になっている………薔薇でも咲きそう。

そして、保健室で診てもらうと心理的ストレスだと先生は言った。


「心理的ストレス………」


やっぱり家庭的な問題かしら……と考えていると、


「「マリア!」」


ローザンヌ公爵夫妻が血相を変えて保健室にけたたましい足音を立てて入ってきた。


「ローザンヌ公爵、令嬢は何か心理的ストレスを抱えているようですが心当たりはありますか?」


そう言った先生の言葉に公爵夫人が肩をピクリと震わせた。公爵夫人には心当たりがあるようだ、おそらく私も彼女と同じことを連想したと思う。


(ローザンヌ公爵の浮気、正確にはまだ疑惑だけど……。)


「貴方が浮気するからよ!クロエ様とまだ続いてたの!?」


「はぁ、クロエとは幼馴染だし、何年も会ってないよ!」


クロエってまさか、社交界の3華クロエ=ガルティエ侯爵夫人の事!?


「嘘よ、寝言でクロ、クロと言ってたもの!」


「あー……それは猫のクロだ。」


撫で回していた猫の名がクロだったと私も思い出してそれを公爵夫人に言った。私もあの光景を見ていなければ信じられない、夫人に少し同情した。そして、嘘、本当と繰り返される夫婦喧嘩を見てマリアの苦労が伺えた。


「帰りが遅かったのは、カール様にチェスで負けたのを慰めてもらってたんだ。」


「そう、今度からちゃんと言ってよね……」


あれ関係あったのか……。

マリアを放って2人はラブラブモードで仲直りしてそのまま帰っていった。


「ありがとうね」


翌日、申し訳なさそうに謝ってきたマリアを見て、


(それで良いのか?ローザンヌ公爵家……)


私は驚き呆れた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ