クラス替え
始業式の日、ここで待っているのは皆さんお待ちかねのクラス替え………。
今までは運次第であったがこの4年生からは違う。あのテストを含め3年生の時の1年間の成績でクラスが決められる。余程の事が無い限り中等科、高等科とこのシステムで進級していく。
クラスは順番に特A、A、B、Cの4クラスであり、私とマリアは同じAクラスになった。
「同じになれて良かったわ!」
「そうだね!」
私は最初のテストがズタボロだったので特Aになれなかった、むしろAクラスにギリギリ滑り込んだ状態だと思う。だがマリアが同じクラスとは思わなかった……。
(何かあったのかな……)
マリアは私とは違い成績優秀でいつもトップクラスだったような気がする。だから私はマリアなら特Aに行けそうな気がしていた。
「エリ、どうしたの?それにしてもあの方はCクラスですって!」
「ああ、彼女ね……」
マリアの言うあの方とはジョアンナ=メイデン、“恋する幸福な国で”のヒロインである少女のこと。
(まぁ、あんなに放課後私を追いかけ回していたらそうなるよね……あの子勉強しなさそうだし。)
エリザベスは心の中でそう思った。
クラスにはシャルルとあともう1人、ジスト=メルサイユの姿もあった。
(これでトールとレオン以外の攻略対象と顔を合わせた事になるわね……)
あとの2人、トール=ドレリアンはあのフェルナンド様の婚約者マリア=ドレリアン様の兄君、レオン=バルベシュタインは私の再従兄弟という関係である。
2人とも式典の時遠目から見たくらいで顔を合わせたことはない。
「確かに攻略対象っぽいわ……」
ジスト=メルサイユはとても美少年である。
美しいイケメンともてはやされそうな顔、イチヤ王子ほどでは無いがミステリアスな雰囲気がある少年だった。
(だけどね、ションちゃんの足元にも及ばないわね……)
エリザベスにとって彼はそこら辺の男より少し顔が良い位にしか思えず、魅力を感じることは出来なかった。
(それをここで言ったら完全アウトよね……)
クラスの女子たちは、シャルルかジストのどちらかにハートを送っているようだった。
「すごく人気ね……貴女の護衛とメルサイユ様。」
マリアはあきれたように小声で話す。
「……シャルルはまだ見習いよ、マリアはあの2人の事どう思う?」
「シャルル様は口が軽そうで女性に思ったことを何でも言ってしまいそうな方ね。
メルサイユ様は……美しい方とは思うけどなんというか近寄りがたい雰囲気があるわね。」
「確かに……」
なるほどなと思った。
乙女ゲーム内だとシャルルは空気の読めない熱血系、ジストは不思議ちゃん枠だと思った。
(お兄様はどこなのかしら……)
イチヤ王子は過去をこじらせてしまった俺様(?)というのだろうか……シス王女の話からしてそんな感じがするのだけれども。
お兄様がどういう属性なのかはよく分からなかった。
始業式も終わり、私はいつものようにマリアと帰る。マリアの顔が曇っているように見えたがそれは気のせいなのだろうかそうじゃないのだろうか。
「なんかマリア様暗い顔してましたね……」
「そうよね…やっぱりそうよね。」
シャルルも私と同じ事を感じたようであった、近頃の出来事を考えるがローザンヌ家に問題が起きたと言う話を聞いたことはない。
「こういう時はヘンリーに聞いたら何か分かるかも……!」
同じ公爵のヘンリーならば何か知っているかもしれないし、ゴシップとか好きそうなので何らかの情報を得ることは出来そうだと思った。
私は特別監査室に行った、行ったのだが……
「エリザベス王女、ここは通しませんよ!」
扉の前で通せんぼする老人に出会って中に入れない、シャルルと彼の押し問答が始まった。
(彼は確かこの特別監査室で民部を専門としているカール=ペンヨーク様だったかしら………)
私はこの老人の名前を思い出した。




