運命の出会い
馬車は正面玄関前で止まり、マリッサに促され出る。
「はぁ、一体なんなのよ。初登校早々どうして呼び出されるのかしら」
「ですから胸に手を当てて考えてください。」
胸に手を当て、心当たりを探す。
・入学式をすっぽかしたこと
・この2週間不登校を貫いたこと
・入学前に贈られた制服をビリビリに裂いた(ワガママな嫌み付き)
・お母様が何故か私の部屋に置き忘れていった学園長の自画像に落書きしたこと
「……どれよ!」
可能性としては3番目か4番目だろうか。
「着きました。」
正面玄関から中舎に入り、そこから真っ直ぐ歩いたところに学長室はあった。
コンコン……………
ノックをしたが返事は返ってこない。
「……確か世の中にはノックを3回しなさいという暗黙の了解があると聞くわ」
コンコンコン………
やはり返事は返ってこない。
「こうなったら、強行突破よ!」
助走をつけて扉への体当たりを試みる。後になって思えば学長室のドアはそんな体当たりごときでなんとかなるものではなかったと思う。
「たあああああああああ!」
6歳児の最大限の力で走って行ってドアへと体当たりしようとしたその時、突然閉まっていたはずのドアは開いてしまった。
「え、ちょっ、待って」
止まろうとしたが、遅かった。ブレーキと間違えてアクセルを踏んでしまった車のごとく私は部屋から出てきた人と思いっきり激突してしまった。
ドシーン!
「………………」
え、なにこの恥ずかしい状況は、部屋から出てきた人を私が押し倒したかのような形になってしまった。その人の目は見開いてとても驚いた表情だった。。
ああ!恥ずかしい、穴があったら入りたい。今私の顔はとても真っ赤だろう。身体中の熱が顔に集まってくるような感覚に襲われている。
………これが私と彼のはじめての出会いだった。