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ああ、私はただのモブ。  作者: かりんとう
初等科3年生
39/229

疑惑はあれど

ここに来て、予想外の事態が起きた。

私の死後にこのレミゼ王国を舞台にした乙女ゲームが発売された可能性が出てきた。


「厄介な事ね………」


だって、これでは私はどう動けば良いのか分からない。知識は何もないのだから………登場人物も何もかも分からない。


(けれども、フェルナンド様の名前が彼女から出たということは彼はおそらく攻略対象なのだろう………そして、彼女は彼のルートに入ろうとしている?)


今の段階ではそう考えるのが妥当だろうか。


「ということは……ルイ=L=ドレリアンの母親が彼女ということなのかしら?でも待って!彼女が他の攻略対象のルートに入ったらルイの母親は別人、あるいはルイが産まれる事もその先の未来自体が無くなるわ……」


「どうしたの?エリ、そんなにブツブツ言って。もう皆出たよ。私たちももう帰ろう。」


「あ、マリア!なんでもない……ちょっと考え事よ。またテストでヒドイ点数取ったら本当に特別監査室出入り禁止にされちゃうからそれについてよ」


「本当に特別監査室が好きなのね貴女って」


「まぁね。ねぇ今日はマリアも一緒に特別監査室に来てくれない?ちょっと話もあるから」


「分かったわ」


私たちは玄関を出て、馬車に乗り込む。


そして、特別監査室にて。


「貴方達に話があるの!」


特別監査室の隅の部屋には、私、マリア、フェルナンド様、アベルが居た。

私は同じクラスのジョアンナ=メイデンが転生者であることは伏せて、あの“手紙事件”の犯人が彼女である彼女である可能性を話した。


「フェルナンド、お前はその子とは知り合いなのか?」


「いいえ?全然知りませんよ……。はじめて聞きましたよジョアンナさんなんて人」


「まさか、彼女が?確かに彼女はちょっとマナーがなっていないところもあるけど……どうしてそんなことを?」


マリアやフェルナンド様は私が聞き間違えたのではないかと疑っているようだ。


「う~ん、けど彼女がそう言ってたんだよ?わざわざ手紙を送ってるのにフェルナンド様が気づいてくれないって」


「まぁ、気を付けておくよ。」


フェルナンド様はあまり信じていない様子でそう言った。

そしてぞろぞろと2人は帰っていき、部屋にはアベルと私が取り残された。


「彼女は一体何をしようとしているのかしら………」


その私の言葉にアベルが反応した。


「あの、エリザベス王女。マリア様やフェルナンドは信じていないようですが、私は王女がおっしゃった事は正しいのではないかと何となくですが思います。」


「あら、どうして?」


本当にどうしてなのだろう。

物的証拠はまだ何もない。今あるのは私が聞いた状況証拠(そうだとしても彼女が転生者の可能性はほぼ100%)しかない。


「ここをやめたメイデン子爵が言っていたんですよ。“あの娘、ジョアンナが怖い。彼女は時々訳の分からないことを言っていてフェルナンド様がどうとか言っていて彼に何をするのか分からないから怖い”とおっしゃっていたんですよ……彼は仮にも元軍人ですよ?その彼が子供に対してそこまでの恐怖を抱くのはおかしいことだと思うんです」


「まあ、メイデン子爵がそんなことを………彼は何かを感じたのね」


「その時は気のせいだって言ったんですが……今となってみると彼女がどうも怪しい気がしてきました。」


「……そうよね。まぁ、出ましょう。」


それ、絶対手紙事件に関してもクロだと思うわ。

そう思いながら部屋から出ると


「教えてくださいよぉ!いいじゃないですかぁ」


「いや、だから彼女は俺の好みじゃなかったの!しつこいなジューンは。」


そこでは、癒し系オジサマのジューン=マブーク伯爵とヘンリーがなにやら騒いでいる。


「………これは一体なんの騒ぎ?」


「ああエリザベスさん、ヘンリーが昔ノンマントン夫人を好きにならなかったのはどうしてなのかってここ最近ずっとあんな感じなんですよ。」


ションちゃん曰く、昔ヘンリーは国王がノンマントン夫人を好きになったのを当時彼女の婚約者だったノンマントン伯爵に相談されて恋を諦めさせるためにいろいろと奔走したらしい。

その時にどうしてノンマントン夫人を好きにならなかったのかがジューンは気になるらしい。


「お父様にそんな過去が……」


「ジューン、俺はな愛し合ってる2人を無理矢理切り裂くような悪趣味な男ではない。それに彼女は綺麗すぎだ、何となく気後れしてな。」


「そうだったんだ~。流石社交界の3華ですね……“女泣かせのヘンリー”が気後れするなんて」


「バカ、早く仕事やれ!」


そんな2つ名が有ったんだ……知らなかった。


「ねえねえ、前から思ってたんだけどヘンリーって喋らなければ良い男だよね」


「うるせぇよベス!」


「エリザベスさん、それを言ってはいけません。」


「ションちゃん!どういう意味だよそれ。」


「本当にヘンリーも彼女も黙ってたらいい人なのに……」


「なんだよ、ベス!……………ん?彼女って誰だよ」


私は、ヘンリーに今までのことを話した。


「メイデン子爵家か……ソルティーさんはいい人なんだけどな。こりゃ、“第2のレミゼの膿”になるかもな」


「どういうこと?」


「確かに、メイデン子爵家に良い噂を聞かなくなりましたからね。そのジョアンナとか言う少女の父親、いずれ子爵になるお方はマナーに欠けるという噂で専ら評判ですから……」


「あらそうだったんだ、ションちゃん。」


私はとぼとぼと帰りながら彼女のことを考えていた。


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