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ああ、私はただのモブ。  作者: かりんとう
初等科3年生
38/229

転校生は転生ヒロイン(?)

6月、9歳となった私は特に何もない学園生活を営んでいた。

マリアと遊んだり、特別監査室に顔を出したり、フェルナンド様から勉強を教えてもらったりと日常を普通に営んでいた。


「エリ、そういえば転校生が来るらしいわ。どんなお方なのかしら」


「へぇー、こんな季節に珍しいこともあるもんだね。まるで漫画みたい」


「マンガって何?」


「いや、なんでもない」


転校生は大抵学期始めに来るものだというのが学園の常識である。

このような時期に来るのは、他国に居たが、親が急に爵位を受け継いで貴族になったとか親が急に貴族になったなどのそういう事情の時のみである。


「で、どこのお方が来るの?」


「それは_」


マリアが何か言いかけたそのとき、担任のはい席についてという言葉で話は遮られた。


「皆も聞いていると思うけど、今日から新しい転校生がウチのクラスに来ます。さあ、入ってください。」


………現れたのはとてつもなく美少女であった。

ふんわりとしてさわり心地の良さそうなピンク髪に可愛らしい赤みがかった茶色の瞳は宝石のように輝いている。

そして、少し華奢な体格ではあるがスラリとしていてスタイル抜群で着飾ればまるでどこかの国のお姫さまのようにもなれるだろうとエリザベスは思った。


(なんだろう、この嫌な予感………)


私は彼女に得たいの知れない恐怖を感じた。あのイチヤ王子に初めて会った時の感覚にやや似ている、だがどうして彼女にそのような感覚を抱くのか私には分からなかった。


「ジョアンナ=メイデンです。よろしくお願いします!」


彼女は愛らしくそう言う。

驚いた、メイデンというとあのメイデン子爵の親戚だろうか………


「ああ、メイデン子爵に子供がいないので甥にあたる彼女の父親を養子にしたそうよ」


「そうだったんだ………」


マリアは不思議そうにしている私にこそっと耳打ちした。

そして、不機嫌そうに小声で言った。


「あれが庶民の自己紹介の仕方なのかしら?」


「ああ、多分そう。」


学園に通う貴族令息・令嬢方はその家の看板を背負ってきているも同然なので、新学期最初の自己紹介の時間は家をアピールするために自己紹介も仰々しくなりがちである。

例えばマリアを例にすると、

『私はローザンヌ公爵家12代目当主クリストファー=ローザンヌ公爵の第一子マリア=ローザンヌでございます。ローザンヌ公爵家はソレイユ=レミゼ暦347年に当時の王弟カルマ=ド=レミゼが臣籍に下りローザンヌ姓を賜ったのが始まりで_』

と、まぁこのように名を名乗った後その家の歴史を語ると言うのが通例であった。


「けど、しょうがないよ。彼女は貴族になったばかりなんだから」


「確かにそれはしょうがないと思うけど。彼女まだ貴族籍に正式に入ってるわけではないそうよ。」


「これは……またどうして?貴族籍に入ってないのに学園に来るなんて」


学園に通う資格は貴族籍に入った人物であること。例え貴族の子供であろうと貴族籍に入っていなければこの学園には入学出来ない。


「お父様が言ってたはっちゃけた新米貴族ってヤツかしら?」


「………ローザンヌ公爵、そんなことを。多分ただの“養子の手続きミス”よ。気にしてはいけないよ」


「そうよね」


私達は話を終わらせてまた、前を向いた。


「ええと、ジョアンナさんの席は……エリザベス王女の後ろです。」


「分かりました」


マジか………。私の後ろにこんな美少女が来るなんて、嫌だなぁ。


「よろしくね!」


「あ、うん。よろしく。」


横をチラリと見るとマリアは眉を潜めていた。いきなり馴れ馴れしい態度をとる彼女を不快に思ったのだろう。

それよりも私は彼女の言葉で頭が真っ白になった。


「ふぅ、それにしてもいつになったらフェルナンド様は私に気づくのかしら………。このヒロインの私がわざわざ手紙を送ってるのに…………」


………ん?ヒロイン?もしかして彼女は転生者なの!?

いや、ちょっと待って!ということは私が知らないゲームの話があるってことよね………

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