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ああ、私はただのモブ。  作者: かりんとう
初等科3年生
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くだらない噂と愚痴

フェルナンド様の教えのお陰で算数の再テストは94点という高得点で合格することが出来た。

なので、あの“特別監査室出入り禁止”という最悪の事態は回避することが出来た。


「フェルナンド様もちゃんと登校して来るようになったし、良かった!」


「エリ、何でテスト合格だけでそんなに嬉しそうにしてるの?」


事情を知らないマリアは不思議そうに聞いてきた。


「うんマリア、私の平和は守られたのよ。」


「そうなんだ。」


だが、世の中すべてうまくいくとは限らない、私の悪い噂が流れたことだ。

それは“私が授業放棄してメイル先生を転けさせた”なんていうくだらない噂だった。


「いや、間違ってはないんだけどさ。

あの朗読授業を受けたら分かるわ。それに、転けさせたんじゃなくて勝手にずっこけてただけじゃん」


「朗読授業?ずっこける?」


マリアの頭には?がいくつも浮かんでいるようであった。


「はい、みなさーん。産休に入ったマルケイ先生に代わり、算数は代わりの先生がきます。」


担任に連れられて来たのは………あのメイル先生だった。


「メイルです、お久しぶりです王女殿下。」


(いやいや、学園よ正気ですか?生徒の成績下げる気満々なんでしょうか…………)


既に面白おかしく噂は広がっていたので私には冷たい視線が突き刺さる。

皆さん、あの授業を受ければ私がどうして授業放棄したのかよく分かります。


放課後、私は特別監査室に寄って学園の様子を愚痴る。


「へー、そのメイルって野郎の授業、そんなにつまらんのか……」


つまらなさそうな顔をしてヘンリーは気の抜けた受け答えをする。


「メイルさんかぁ、あの人やっぱり教師に向いていませんよね………私の同級生なんですよ。いや、まぁ私は教師ではないのでそんな向いてるなんて決めつける資格はないんですが。」


「「ええ、ジューンの!?」」


驚いた!あのメイル先生はジューン=マブーク伯爵の同級生らしい。

ということは今年で35歳ですか……。一方は有能な官僚、一方は無能な教師、この差は一体何なんでしょうか?

そんなことを頭で考えているとすると奥から、やはりションちゃんは出てきた。


「ションちゃん、久しぶりぃ!あら、そういえばメイデン子爵を最近見かけないわね?」


久しぶりに会えた喜びで私は興奮しながら話始めた。


「彼は療養のため、ここを辞めました。」


「あら………そうだったんだ。」


「あ、エリザベスさん貴女からもらったあのチューリップ、今年も花開きましたよ」


特別監査室の小さな机の上にはチューリップが飾られていた。


「本当だわ!綺麗……。」


「あ、王女!それとオンリバーン侯爵、僕も話に混ぜてくださいよ。」


私達の元へフェルナンド様がやって来た。


「フェルナンド君、学校にまた通い始めたとアベルから聞きました。」


「これもエリザベス王女のお陰ですよ!」


それを聞いて、ションちゃんはこちらを温かい目で見てきた。


(……!ふ、不意討ちはダメよ。なんという威力なのよ)


「エリザベスさん、どうしたんですか?なんか顔が赤いような………」


「きょ、今日はもう帰るわ!じゃあね、また来る」


私は、慌ててその場から立ち去る。


エリザベスがいなくなった後、


「どうしたんだろ、エリザベス王女。あ、父さん元気になって良かった」


「お前はストーカーに不登校、色々と心配したけどこれでようやく仕事に励める」


「心配かけてごめんね」


このような親子の会話や


「おい、ジューン。その話は今度にして仕事だよ仕事!」


「あのぅ、マブーク伯爵にベアドブーク公爵、仕事してください!」


「はい」


仕事に取りかかろうとしている男たちの会話や


「………どうしたんでしょう、エリザベスさん」


不思議がる男の独り言があったそうな。


後日、エリザベスに冷たい視線が突き刺さることはなかった。

おそらく、皆さん気づいたのでしょう。私が授業放棄した理由に、メイル先生の評判は“王女に授業放棄されてかわいそうな女教師”から“役に立たないクソ教師”に変わった。


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