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ああ、私はただのモブ。  作者: かりんとう
初等科3年生
34/229

嬉しくない結果

結局、フェルナンド様をストーキング(?)している人物の詳細も分からずじまい。

そして、私はというと…………


「良かったじゃない、『剣術入門』は合格していて」


そう、私が再テスト確定だと思っていた『剣術入門』は何とか合格していた。


「けど、41点だよ……うれしいけどギリギリだよ。結局他ので落ちちゃったし」


「確か『算数』だったよね……。しかも39点で」


後少しのところで落ちてしまった。


「そう、後2点で合格してたのにぃ!」


「まぁまぁ、勉強すれば大丈夫よ。」


マリアは私を励ますが、再テストを受けなければならないことに変わりはなかった。


特別監査室にて、


「ションちゃん!どうしよう………再テストは明後日なのよ、絶対に無理よ。」


「エリザベスさん……一体どうして最初のテストでそんなことに?」


「えっと……それは、その、まぁいろいろよ!」


言えない!ずっといろいろ考えてたら勉強をつい疎かにしてしまったなんて……恥ずかしくて言えないわ


「まぁ、フェル坊のこともあるしな。けどよ、お前本当になにやったら落ちるんだ?今はどうか知らないけど昔はあの“レミゼの膿”でも受かるって言われてたくらい余程の事がないと落ちないもんだったぞ?」


今は、多分そんなことはない……。

前世でも算数の頃からは計算とかは苦手だったし、小学生の問題って舐めていたのが今回の事の原因だろう。


「ヘンリー、今は多分私達の頃よりも難しくなっているんですよ」


「そうか?まぁいいか。おい、ジューン!お前暇だろう?ベスに算数教えてやれ。」


「はいはい、分かりました。王女、取り敢えずこちらへ……」


癒し系なオジサマ、ジューン=マブーク伯爵に連れられて私は仮眠室の方へと移動した。


「ええと、王女……これがテスト結果ですか。」


「そうよ。」


《テスト結果

エリザベス=ド=レミゼ

国語89点

算数39点

社会92点

理科66点

剣術入門41点》


「王女は完璧な文系人間なんですね……。」


「そうでしょうね、この結果を見る限りは」


「何から教えてればいいのでしょうか。これは、」


「もう無理よね、これじゃ。

ねぇねぇ話変えるけど、どうしてアベルはあんなに暗くなってるの?このままじゃこっちもどんよりした気持ちになるわ」


そう、仮眠室の隅っこで壁を向きブツブツと何かを呪文のように唱えているアベルの姿が有った。


「フェルナンド様の事ですよ、どうやらあの手紙事件の後不登校になってしまったらしくて………」


「あぁ、なるほど。」


そうよね、あんなに好きですを何枚もエンドレスした手紙を見たら外に出たくなくなる気持ちも分かるわ。


「エリザベス!貴女、この点数は一体どういうことよ!」


いきなり聞こえてきた声に驚いて振り返ればそこには、笑いながら怒るお母様の姿がある。

ちょっと待ってください、手に持ってる扇子がミシミシいってますよ!恐いですって。


「ええと、い、いろいろと有ったんです!」


「何があったのかしら。マリッサからの報告によれば貴女、勉強は一応していたようですが勉強が終わるとずっと枕に顔を埋めたり、ジタバタとしていたりと落ち着きが無かったようですわね!

そんなにも勉強に身が入らない何があったのか私にも教えてくれないかしら。」


私の思考だけ“天国”を思い出していたんです!あの色気が頭にこびりついて勉強どころじゃ無かったんです、とか言えない……。

私がどう言い訳をしようかと考えていると、ついに扇子はビシンと音をたてて折れてしまった。


「いいわ、これから貴女に家庭教師を付けます。もし貴女が算数のテストで90点以上取ることができなかったら、今後特別監査室へ行くのは禁止します!」


「ええええ!そんなぁ……」


困る、そんなの困るよ!私のささやかな癒しを、オアシスを奪わないで!


「異論は認めません!」


そう言ってお母様は去っていった。

お母様が居なくなって私はその場にへたりこんだ。そんな私の肩をドンマイと言うかの様にヘンリーはポンと叩いた。

その日から2日間の地獄の勉強が始まったのだった。


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