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ああ、私はただのモブ。  作者: かりんとう
初等科3年生
32/229

3年生になったよ!

4月、新学期。私は3年生になった。時は早く過ぎていく……

5月で私は9歳となる、イチヤ王子との結婚は後8年と少しということだ。


「何も変わらないなぁ」


そう、何も変わらない。

マリアという友達も出来た、学校での生活もそこそこ上手くいっている。マリアのおかげか私に話しかけてくれる人も増えた。

ただ、ションちゃんと会う機会がまた減ってしまった。去年はお母様の邪魔が有ったからだったが、今年は違う。


「ボッチじゃなくなったのはうれしいんだけど……」


そう、友達付き合いだ。平日は勉強、勉強で休日は茶会やら友人宅訪問やらなんやらで全然会いに行く時間が無いのだ。


「会いたい、我慢はするけど……そろそろ限界よ!」


友人以上になるつもりは無いが、こうにも会えないと流石に限界よ!会って声を聞くだけでもいいから……


「エリ、貴女は本当にイチヤ王子のことが好きなのね。うらやましいわ」


「マリア……」


周りは皆私とイチヤ王子の仲を変な形で誤解している。

彼とはなんと言えばいいのだろうか……彼と私の関係はとても複雑で愛し合う婚約者と言う言葉は少し不適切な表現だろう。彼は私の恋をむしろ黙認している、それに私の恋の矢印は彼には向いていないのだから。


「それにしてもエリ………テストどうだった?」


「……………………聞かないで!」


3年生からテストが始まる。

1、2年生の時は日々宿題をこなし、たまにある小テストのようなモノをすれば良いだけであったが、3年生からは学期始め、学期終わりにテストが行われる。4月、7月、9月、12月、3月の年に5回行われることとなっている。


「非常にヤバイわ、再試確定ね」


40点以下の科目は再試験を受けなければならないと言う小学生には鬼畜だと感じるルールが設けられていた。


「ヤバいなんて……一体何に落ちたの?」


「『剣術入門』かしら……」


「あれってそんなに難しいものだったかしら?」


「うん、全くわからなかった」


剣術入門、前世で言えば体育のような感じだろうか?女子も護身のために剣術を学ぶべきと言う理由で初等科3年生からのカリキュラムに組み込まれていた。


(絶対落ちたわ……全部小手、面、胴をランダムに書いて埋めたし……)


「ま、まぁテストが返ってくるまでは結果は分からないわ。そんなに落ち込まないで!エリ、帰ろう」


「そうね………………」


気分は駄々下がりのまま私はマリアに着いていった。


「あら?あれはアルベルト様かしら…?」


確かにそうだ。

美人なお母様に似てよく見ると美形の部類に入るだろうがなよなよして影が薄いお兄様で間違いないわ。


「あれ?けどお兄様は確か今年中等科に上がったはずだし……まさか、中等科に上がったの忘れてうっかり来ちゃったのかしら?」


「まさか?アルベルト様がそんなことを。」


そんなことをヒソヒソと話しているとお兄様はこちらにズンズンと向かってきた。

まさかさっきの悪口聞こえてたかしら。


「やあ、マリアにエリザベス。お前たちに聞きたいことがあるんだけど今いいか?」


ゼイゼイと息を切らしながらお兄様は尋ねてきたので


「ここは初等科ですわ、中等科はあちらの方です」


私は親切に教えてあげた。


「そんなことは分かってる、そうじゃなくってフェルナンドを見てないか?」


おや、お兄様はどうやら人捜しでこちらに来たようでした。

フェルナンド?どこかで聞いたような


「確かフェルナンド様はアルベルト様のご友人の」


「そうだ、トイレに行くと言ったきり帰ってこなくてな。おかしいと思ってトイレを見たがトイレには居なかったんだ」


フェルナンド、フェルナンド………


「思い出したわ!アベルの息子のフェルナンド様ね」


「ああ、お前が懇意にしている特別監査室室長の息子だ」


「エリ、取り敢えず私たちもフェルナンド様を探した方がよろしいのでは?」


「そうね」


ションちゃんに会いたい、テストの結果も気にはなる、だが今はそれらよりもフェルナンド様捜索だと、私たちはお兄様たちを手伝うことにした。

出そう出そうと思ってなかなか出せなかったお兄様をようやく出せました。

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