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ああ、私はただのモブ。  作者: かりんとう
初等科2年生
27/229

暗く生意気に

2日間の滞在を終えて、イチヤ王子はナクガア王国へ帰っていった。彼を見送った後、私は彼の言ったことを考えていた。


彼が言っていた王宮内に漂っている不穏なオーラ、もしかしたら未来のアベルの事と何か関係があるのかもしれない。


「彼のオーラが正しいと仮定すると、何かが起きてアベルがこの先亡命しなければならないような出来事が起こるということよね?」


ありえない……あのアベルが?

何が起こればそんな事態に陥るの?


「やっぱり信じられないわ、あのアベルが」


国を愛するアベルが見捨てるような出来事が起きる?

それは、一体いつなのだろう。彼は言った、“何かが起こるのは分かるが、何が起こるのかは分からない”


「私にもまだ分からない、きっとその時になって後悔するのかもしれないわね……」


人間、そういうものだと私は思っている。


「王女様、そろそろ夕食のお時間です。」


マリッサの声で私の意識は現実に還った。



食事の間には、国王夫妻と兄の王太子、3人の姉がもう揃っていた。

1番上の姉マリーは既に嫁いだため、エリザベスを含め7人が部屋にいた。


「エリザベス、イチヤ王子とずいぶんと仲良さげに話していたではないか?」


最近、あのキンキラキンな趣味の悪い服を着なくなった父は話を私に振ってくる。


「ええ、まぁ。」


確かにあのオーラについての告白以降仲良くなったような気はするが、取り敢えず適当に相槌を打っておく。


「あんたにあんなイケメンもったいないわ!」


「私と変わってほしいくらいよ!」


「エリザベス、いいなぁ……」


姉達は私を羨ましがっていた。

ここで実は彼のことが好きではないなどといえばどんな恐ろしいことになっただろうか?


(絶対に言えないなぁ……)


姉達の鋭い視線を無視して私は早々に食事を引き上げた。



自室に戻った後、私はノートへ今の状況を書き出していた。

ここら辺で1回情報を整理する必要があるのかもしれないと思ったからだ。


《まず、ここは私が前世でやってた乙女ゲーム『瞳を閉じて、恋の学園』の物語開始44年前の(物語には一切登場しない)レミゼ王国。

ゲームの攻略対象の1人ルイ=L=ドレリアンの祖父が特別監査室室長のアベル=ライオンハート、彼は後に西のマルチウス帝国へ亡命していて性格も温和なものから荒々しいものに変わっている》


「取り敢えず、こんなところかしら。そういえば、ションちゃんやヘンリーたちはどうなるんだろう……」


疑問はそこだ、この先なにかが起こるのは間違いないだろう。だが、登場人物ではないヘンリーたちは一体どうなるんだろう?


「亡命したのよね、他の国に!きっとそう、多分そう。」


私の心のなかに最悪の答えが一瞬よぎったが、それはないと考えをごまかした。



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