王妃による昔話
夜にいきなり部屋に来た王妃の話を、簡潔にまとめるとションちゃんに会えないようにしていた黒幕は自分だったというような内容だった。
「………どうして、お母様が。」
「貴女のためにならないからです。今はまだいいでしょう。ですがいつか必ず貴女は今の現状に満足出来なくなる、友人よりも親密な関係を望んでしまう。私にはそう思えるのよ」
「私は今のままで、せめて後9年このまま居られれば私は幸せです。それにイチヤ王子との婚約にも不満はありません!」
それに対して、王妃はなにも分かっていないなと言うような気の毒そうな人を見るような顔をしていた。
「貴女は本当に分かっていない。……1つ昔話をしましょうか」
王妃の話はこうだった。
昔々、ある国に王女がいた。王女は東の国の王子と婚約していた。けれども王女には結婚したい人がいた。その人は兄の友人である軍人だった、そして彼には婚約者もいた。
王女が14歳の時、彼女は勇気を振り絞り自分の想いを告白した。彼は私をフッと見た後そのままなにも言うことなく振り返らずその場から行ってしまった。我にかえった王女は彼を好きになった自分を呪った、どうして彼を好きになったんだと。
そしてそのすぐ後隣国との間に戦争が起こった。彼はその戦争へ行って死んだ。彼女があげたペンダントを握ったまま………
「私は別にオンリバーン侯爵と友人としていられ続けることができるのなら何も言わないわ、ですが貴女にそれができるとは思えません。」
「お母様、私は彼の事を友人以上に思ってはいませんわ」
「あくまで認めないつもりかしら?貴女が本当にこのままで満足出来るのなら話は終わり、貴女の恋は私だけの胸にちゃんとしまっておくから。今回は忠告だけにしておきましょう。」
「お母様……」
「ああ、7月にはイチヤ王子が2日ほど滞在するわ、ちゃんとそれまでにマナーの勉強をなさい」
そのまま王妃は振り返らず行ってしまった。




