表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ああ、私はただのモブ。  作者: かりんとう
初等科2年生
21/229

季節外れの不死鳥の死

「何をしているんですか!」


声の主は、“友人”のショーン=オンリバーン侯爵だった。


「……何もしてない、ただ逃げてるだけ」


「はぁ、よく分かりませんが…。すいません、エリザベス王女、ミリアン=ヤヌス子爵令嬢はこの人ですか?」


ヤヌス子爵令嬢の方を向いて、ションちゃんはそう言う。


「そうよ!あんた誰?」


そういえばおかしい、特別監査室がたかが子爵令嬢に一体何の用なのだろう


「ええと、貴女のお父上のヤヌス子爵が横領罪で貴族籍から除名されたのでその事で…」


マジかよ……“レミゼの膿”ことヤヌス子爵家はここ100年ほど摘発されそうでされずしぶといということで“1月の不死鳥”とも呼ばれていた。


「嘘でしょ………お父様が」


うん、私達も驚いている。


「本題はここからなんですが、本来なら平民への降格だけで済みそうだったのですが」


「どうしたの?横領の額が国家予算並だったとか?」


その苦虫を噛み潰したような顔を見る限りそれを遥かに超える金額なのだろうか?


「……横領の額自体はそんなに多いわけではないんです、問題はヤヌス子爵令嬢がローザンヌ公爵令嬢の友人を騙って破壊行為をしていたことです。」


「これは…もしかしてこの人がやらかした事の尻拭いまでローザンヌ公爵家がやってたとか?」


「ええ、そうです。そうなんですよ、はい。」


滅多なことでは動じない彼には珍しく遠い眼をしている。


「何勝手に話を進めてんのよ!」


話についていけていない人が約1名ワーワーと喚いているが、貴女のことですよ。


「というわけで、ローザンヌ公爵家が立て替えた分だけでも払ってくれと公爵が激怒してます。こちらが請求書です。」


《請求書

  出前代  35万レミゼ

お花1年分 178万レミゼ

窓ガラス代 250万レミゼ

銅像修復費5000万レミゼ


(略)》


「……ん?お花?」


おいおい、私への嫌がらせも含まれてない?これ……お花って


「こぉんのバカ娘がぁ!お前何やらかしてくれたんだぁ!」


突然、脂ぎった不健康そうな男性がヤヌス子爵令嬢、いやヤヌス元子爵令嬢に掴みかかる。バカ娘と言っているところから見てヤヌス元子爵だろう。


「お前のせいで子爵家がぁ!うっ……」


そのまま気絶してしまった。



__あの後、ヤヌス子爵家は本来なら平民への降格だったのだが請求書内に私への嫌がらせの証拠があったことも取り沙汰され、奴隷への降格が決まった。

まさに“季節外れの不死鳥の死”である。こうして“1月の不死鳥”は5月に貴族として終わったのだった



「それにしてもエリザベスは、オンリバーン侯爵と親しいのね。」


「ええ、まぁ彼とは友人よ」


「そういえば、来週末はお茶会があるらしいわよ」


「私は行かないでおくわ」


少し、気になることもあるし……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ