85.俺、鳥を見た
炎が収束して球体になった。
小さなプロミネンスが噴きあがり、弧を描く。
…まるで人工太陽だな。
8個あったらファイヤードラゴンを生み出せるかもしれない。
炎の中で、アメーバっぽいシルエットがうごめく。
……あれは…、鳥か…?
シルエットはひな鳥っぽく変わり、どんどん育つ。
あ、もう羽ばたいてる。
しかしデカい。
デカすぎる!
空の大怪獣なんて目じゃないです。数字が一桁違います!
正確な数字は知らないけど、千夜一夜物語のロック鳥か、ユダヤ神話のジズってところかな?
炎が弱まってきた。
これは、いよいよ出てくるな。
さて、どんな姿だろう?
炎の中から出てくるんだから、やっぱフェニックスかな?
鳥が翼を広げた。
残ってた炎を吸収し、さらに身体が大きくなる。
姿の方は、予想が当たった。
めっちゃデカいけどフェニックスだ。
雑魚を片したら人工太陽がでてきてボスはフェニックス。
レトロな横シューの一面だな。
まさか、進化でパワーアップゲージが増えたのって、こいつとバトるためとか?
『礼ヲイウゾ、小サキ者ヨ』
「!?」
フェニックスが念話してきた。
攻撃してくるとばかり思ってたから、これは意外。
「礼とは、変わったことを言うやつだな。いったい何の礼だ?」
『我ヲ目覚メサセテクレタ礼ダ』
「目覚めさせただと?」
『ソウダ。我ハ、オ前ノ魔法デ生存ノ危機ヲ感ジタ。オカゲデ目覚メルコトガデキタ』
mjd!?
魔法を撃ったら相手が変身するのが今のトレンドなのか?
俺、昨日も同じような目に遭ったんだが…。
まさか…、こいつもアレを…?
「お前、もしかして幻の闇水晶を持ってたのか?」
『ホウ。オ前、博識ダナ。確カニ我ハ、ソレヲ持ッテイル。三日ホド前ニ拾ッタノダ』
……何でそんな危険物が普通に落ちてるんだよ!!
主様、G細胞をバラまいたって、文字通りバラまいたんですかぁ?
「なるほどね。カラスだから光物を見つけたってわけか」
『ソレハ違ウゾ』
「違うって、何が?」
『我ラハ、不滅ノ力ニ導カレタノダ』
不滅の力…だと…?
思いつくものと言えば、魔神がーなロボット……じゃなくて、G細胞だな。この世界だと。
まさか……、カラスもG細胞持ちだった?
だとしたら、全体攻撃は無効なんてトンデモな能力もアリだな。
一羽でも残ってれば、群を再建できるもん。
しかもしかも、G細胞には幻の闇水晶――闇属性に染まったG細胞――を見つける力がある模様。
うん。俺、超ラッキーだったな。
こいつを倒せば件のG細胞を回収できる。
それじゃ、全力で倒しますか。
デカい相手には、これだ!
「消滅弾、エクスクラメーションサイズ!」