81.俺、魔王への一歩を踏み出しちゃいました?
住処に戻った俺は、今回の件で各方面に念話を入れた。
まずはノーム、続いて竜王、そしてドワーフ、最後はエルフだ。
この過程で、天上界の意向がハッキリ見えた。
まず、ノームには一部始終をすべて話せた。
主様がかかわってることも、G細胞のこともね。
ところが、だ。
協力を頼もうと思った瞬間、頭痛だったり吐き気だったりに襲われた。
うん。これは頼んじゃダメってサインだ。昨日のノームも、こんな感じだったんだろう。
ノームは、天上界からの地上駐在員みたいなポジション。
その力を借りられないってことは、天上界の力を借りられないのとほぼ同義。
あくまでも俺の力で何とかしろってことだ。
次の竜王との念話では、主様のことも、G細胞のことも話せなかった。
主様はともかく、G細胞のことも話せなかったのは、俺にとって予想外。
G細胞は、地上の守護者にも知られたくないモノのようだ。
地脈が乱れてる、もしくはこれから乱れる可能性があるから、気付いたら教えてほしいってことは頼めた。
でも、積極的な関与、例えば巡回パトロール的なことは頼めなかった。
ここでも、俺の力で何とかしろって言われたわけだ。
ドワーフとエルフ、それと直接話したハーピーたちには、主様が直接かかわってること以外を全部話せた。
G細胞も込みでね。
さらに、安全を確保したうえでの巡回パトロール的な指示もできた。
天上界では、この三種族は俺の忠臣、もしくはそれ以上と認識されてるようだ。
…そういえば、ルードラは俺とノームがG細胞の話をしてる場に普通にいたな。
そんな感じで、この件は「俺が総力を挙げて解決する」のが天上界の意向だろう。
ともあれ、今の時点で打てる手は打った。
次は、G細胞持ちへの対処方法を考えよう。
ほら、アラクレには魔法も物理も通用しなかったでしょ?
それって本来ならあり得ないんだよ。
俺の攻撃属性は天罰。
繰り出した攻撃が元々持ってる属性に万能属性――耐性や魔法を貫通する属性――が追加されるという、チート級の属性だ。
防御能力で軽減はできるけど、吸収は無理…のはずなんだよね。
でも、実際に攻撃は吸収された。
このカラクリを明らかにしておかないと、どこで足元をすくわれるかわからない。
何らかの方法で吸収されるなら、反射される可能性もあるからね。メガテン的に。
まず、G細胞の能力って線はない……と思う。
フクザは神が与えたG細胞持ち。適合度はアラクレより上だろう。
でも、ノーム情報だと倒すことはできる。つまり、吸収できない攻撃が普通にあるってことだ。
G細胞に攻撃吸収能力があるなら、宿主のために発揮しないわけがない。
となると、アラクレが持ってた能力か…。
うん、名前からして暴食が怪しいな。
詳細は不明だけど……ん? んんんん!?
ちょっと待て!!
俺…、暴食が使えるじゃん!!!
これはアレか、アレなのか?
転生スライムのお約束、食べた相手のあれやこれやを自分のものにするってやつですかぁ!?