79.俺、神の共犯者になる
ノームのお使いを終えたと思ったら、続けて天上界のお使いか…。
話の切り出し方からして、俺に振る気満々だったもんなぁ。
ていうか、ここまでが予定通りって気もしてくる。
しかし、闇属性に染まったG細胞が7個か…。SOSな気分だな。
ところで、なぜそんなことに?
『それがですね、誰とは言いませんが、異世界の魔王の力をこの世界で使おうとした者がいましてね』
ほう。そんな奴がいたのか…。
おそらく、そいつは異世界の魔族だな。
で、召喚されたか転生したかでこの世界に来た。
魔王の力ってのは、魔力の増幅とか、使い魔の召喚とか、そんなとこだろう。
ただ、主様の言い方からすると、未遂に終わったと思われる。
『その者の行為は完遂させましたよ。その方が面白くなりそうでしたからね』
あ、そうしちゃたんですか…。
実に主様らしい判断ですね。
自分の力に絶対の自信がなきゃ、そんなことできませんよ?
今の俺が主様の立場だったら、全力で止めてたと断言します。
『だって、見てみたくなりませんか? 異世界の魔王の力を借りた呪文なんですよ?』
ああ、それは見たいかも。
自分が安全ならって条件は付くけど。
…あ、天上界にいれば基本的に安全だな…。
『しかもですよ、呪文の使い手は、本来なら竜を倒す呪文を、その場で熊用にアレンジしてたんですよ?』
ん?
『結果的に、威力は本家と大差ありませんでしたけどね。しっかりクレーターが出来てましたから』
んんん…?
俺、異世界の魔族と同じことをした記憶があるんですけど…。
…ま、まさか…ね…。
『確か、呪文はこうでしたね。黄昏よりも昏きもの、血の流れより(以下略)』
その呪文、この世界に来て間もない俺が阪神半戯…じゃなくて半信半疑で唱えたやつじゃないですか…。
てことは、原因は俺ですかぁ…?
『ええ。原案は、あなたです』
げ、原案?
『そうですよ。その魔王は、7分割されて封印されていたでしょう?』
俺、前世紀のアニメしか見てないから自信ないけど、確かそんな設定だった気がする。
『その設定を、この世界に持ち込んでみました』
おうふ…。
それで原案が俺なんですね…。
で、あとは主様がG細胞をバラまいたと。
『まあ、そんなところです』
ダメ元で一応聞いてみますけど、今回のイベント、クリアは出来るんですよね?
同時多発テロ的に事件が起こるとか、いきなり裏ボスが出るようなことはないですよね?
『大丈夫ですよ。王女が犬になってたRPGを参考にイベントを配置しましたから』
…それって、序盤とラスダン以外はバランス調整を端折ったやつじゃないですか…orz。
レベルでゴリ押せるから大丈夫といえば大丈夫だけど…。
『そんなわけで、この世界の命運はあなたの活躍にかかっています。世界が滅びでもしたら、原案のあなたも共犯者ですからね。そうならないように頑張ってください』