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70.俺、殺生石を思い出す

 俺は二人に生命力が回復する魔法を唱える。


 足りなくなった生命力を補うのは、やっぱマナかな?

 ということで。


「いのちの歌」

「「うっ…」」


 よし、成功。

 イメージさえしっかりできてれば、ネタっぽい呪文でもOKなのが、この世界のいいところだな。

 二人は意識を取り戻し、ふらつきながらも立ち上がった。


「ゆ、勇者殿…今のは…いったい…?」

「二人を呼び寄せて治した。見たまんまだよ」


 展開についてこられないライオン○。

 事態を理解できてない虎タウロスとヘビタウロスは、両手を見つめて困惑しまくり。


 俺は三人が落ち着くまで少し待った。


  ☆


「…なるほどね。生き物から力を奪う岩が」

「そうなのです。最初は龍脈が乱れました」

「それで見に行ったら、赤黒い岩が地面から現れたのでござる」

「そして地脈に乱れが出申した…」


 このあたりのケンタウロスは、少し怪しい武家口調がデフォらしい。

 ライオン○は「拙者」以外は普通に近い。

 虎タウロスはござる調で、ヘビタウロスは申す調だ。

 語尾がトラとかニョロの方がわかりやすいのだが、世の中そこまで甘くなかった…。



 で、肝心の地脈の話だが、ケンタウロスたちは、赤黒い岩が地脈を乱していると思っているようだ。

 件の岩は龍脈を乱しながら地上に顔を出し、日に日に大きくなった。

 そしてそれに反応するように、地脈も乱れてきた。

 だから、岩を掘り出して壊せば地脈も龍脈も元に戻るんじゃないかと考えたわけだ。

 まあ、理屈としては、成り立つな。正解とは限らないけど…。


 ただ、その岩は、近付く者から力を奪うらしい。

 最初のころは、知らずに近付いて命を落とした野生動物もいたそうだ。

 殺生石みたいに付近から有害なガスが出てるんじゃないってところが、良くも悪くも異世界らしい。


 ただ、それだけなら、岩に近付かなければ済む話だ。

 厄介なのは、岩の力が日に日に強くなってることだ。

 今ならなんとかできるんじゃないか、というか、これ以上待ったら誰の手にも負えなくなると思いつめ、二人は行動を起こしたそうだ。

 ああ。無茶しやがって…のAAが頭に浮かんだよ。


 そして、俺も迂闊に近付かなくて正解だった。

 いや、闇属性攻撃なら100パー無効だけど、自然物から出てるのは…どうなんだろう?

 万が一にも天候扱いだったら、ヤバいかもしれない。



 ということで、ここから何とかしてみよう。


 岩は探知じゃ見えないけど、闇属性の何かは見えるはず。

 虎&ヘビタウロスが倒れてたあたりからたどれば見つけられる。


「探知」


 ……。

 …。

 それらしい反応を発見。

 しかし……これ、本当に自然の岩…なのか…?


 糸のように細い闇属性の何かをたどった先に見えたのは、ケンタウロスよりデカいクモの姿。

 そいつを中心にデカいクモの巣がはられてる…。

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