7.俺、タコにダメ出しする
スモークが晴れた。
俺は唖然とした。
そこにいたのは大きなタコ。
最初に戦った超巨大熊といい勝負だ。
体形はシルエット通り。
生き物というより、ウインナー……いや、バルーンアートのほうが近いかな?
でも、ここは異世界だ。その程度は問題じゃない。
だが体色、てめーはダメだ!
いや、タコが保護色使えるのは知ってるよ。
てもさぁ、それはないだろ!?
どんな進化をしたら、こうなるんだよ…?
頭(正しくは胴体)に金メッキのように光るスライムが乗ってるのはいい。別の生き物だからね。
頭は黒。足は赤、オレンジ、黄色、黄緑、白、青、紫、ピンクの8色。
はい、とってもカラフルです。
いろんな色の風船で作ったタコみたいです。
いくら異世界だからって、これってどうなのよ…。
ハーピーはガクブル。全力で怖がってる。
このタコが声の主で間違いないようだ。
「魔法防壁」
俺はハーピーの周りにドーム状のシールドを出し、タコの方に向き直る。
…いや、気分だよ、気分。
「ふーん。確かにあんた、初めて見る顔ね。だからと言って、許す気は全然無いけどね」
俺の予想は外れた。
声の主は金メッキなスライム。いろんな意味で上から言ってきた。
うん、ちょっとカチンときた。
「許しを請う気なんてないよ。ふざけた色のタコに乗った安っぽい色のスライムなんて、全然怖くないもん。あ、セコい性格が色に出てるのか?」
…ん? ブチッ! っていう音が聞こえたような…。
「切れたわ! オーロスライムの女王エイユを怒らせた大罪、死を持って償いなさい! 殺れ、オクトスライム!」
フラグ立てまくりなセリフに反応し、カラフルなタコが動く。
…って何、あのタコ、スライムだったの!?
「分裂弾」
タコがしゃべった!? って、スライムなら当然か…。
タコの口(正しくは漏斗)から黒い弾丸が乱れ飛ぶ!
全部が明後日の方向にピューッってね。
ナニコレ、タコ墨?
そういえば、タコの墨は広がって煙幕になるんだっけ。ちな、イカ墨は分身で身代わりだから広がらない。これ、豆ね。
うはっ!
タコ墨だと思ったのは黒いスライムだった。
サイズは俺より少し大きい。俺:50センチ、黒:60センチってところだ。
「融合体」
黒スライムは2匹で合体。人の形になった。
黒光りする細マッチョが、ざっと見で20体。
おお、手には5本の指がある。
…のっぺらぼうで丸坊主で手だけリアルなマネキンが20体。シュールだ…。