65.俺、X-2が出たゲームを思い出す
「それじゃあ、先ずは礼を言わせてもらおうかの。ダール坊、森を救ってくれたこと、感謝するぞい」
「い、いえ。天上界がそうするように仕向けてたみたいで、俺はそれに乗っただけです」
ノームは俺を坊と呼んだ。つまりは子ども扱いだ。
実際、精霊は世界の始まりからずっといるわけで、そういう意味じゃ当然な呼び方だな。
それと、神の力を神の意志に沿って使う場合、俺にダメージが入ります。この点も、子ども扱いされても仕方ないところだ。
坊と呼ばれてるうちは友好的なので、その心配はないけどね。
「いやいや、過去の落とし子の中には、それが出来んボンクラも結構いたでのう」
「そうなんですか」
「うむ。坊は優秀じゃな」
「それはどうも。褒められると照れ臭いですね」
「じゃが、それ故に言っておかねばならぬことがある」
「それは?」
「フクザのことじゃよ」
おおっと、意外な名前が出てきた。
精霊が口にするってことは、フクザって、かなりの大物…?
「フクザがどうかしたんですか?」
「おそらく坊に接触してくる。なんせ、配下の魔王4体を全部倒してしもうたんじゃからのう」
「えっ!?」
「なんじゃ。やっぱり気付いとらんかったのか。ムラセイのアカドウ、サスペンのエイユ、オビーロのシンゴ、ヒノキソのワオ。みんなフクザの配下じゃ」
おうふ。
先日のロップイヤーくん、まさかの魔王だったのか…。
しかも俺が倒した魔王が全部フクザの手下とか…。
「いや、全然知りませんでした。それで、接触って、やっぱり報復ですか?」
「おそらくな。じゃが、そうでない場合もある故、油断は禁物じゃぞ」
「わかりました。忠告、ありがとうございます」
「うむ。ついでじゃ、もう一つ教えておこう」
「何でしょう?」
「坊は、フクザを滅そうとしておろう?」
「ええ。手出ししてきたら遠慮なく」
「やはりのう。じゃが、それは無理じゃ」
「何故です?」
「フクザは不滅なのじゃ。全にして個、個にして全。すべてを滅ぼしたとしても、いずれ蘇えるのじゃ」
心を折るような言葉を残し、ノームは黙り込んだ。
その表情は、どう見ても恐縮。
精霊をそうさせられる存在は、地上にはいない。
おそらく、天上界から「ネタバレ禁止」的な通告があったのだろう。
しかし、厄介だな。
フクザは不滅、倒しても黄泉がえる。
永遠のナギ節的なものをもたらすのは無理な模様。
俺の脳内で、月のしずくを浴びて蘇った金色の狼男が赤いスーパーカーで爆走するシーンが合成された…。
それと、全にして個、個にして全ってのも気になる。
この言葉からイメージしたのは群とか集団だ。
スライムやウサギはともかく、虎や熊が名付けを受け入れるだけの存在なんだから、フクザは見るからに強いと思われる。
そんなのが集団で行動とか、正直、考えたくないです。




