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62.俺、700キロを突っ走りたくなる(謎)

 デカい反応は見つかった。

 俺はその場で停止し、ゆっくりと降下する。

 ワオの姿が見えてきた。


「…」


 鋼鉄のゴーレムと合体した大きな虎ねぇ…。


 ああ、その言葉に間違いはなかったよ。

 ワオの本体は、アカドウと同じぐらいデカい虎だった。

 頭は少し大きい。でも、不自然なほどデカくはない。

 空から見てるんだから、これは間違いない。

 たぶん、おなじみのアングルで描かれた宇宙戦艦の艦首と同じ理屈で大きく見えたんだと思う。

 でなきゃ、威圧感が原因とか、そのあたり。


 ともかく土曜の朝疑惑は晴れました。

 気持ち頭が大きいだけの、四つ足の虎です。



 ただですね、鋼鉄のゴーレムと合体した姿がなんとも…。


 ぶっちゃけるとだね、ワオの姿、ゴーレムの件を聞く前の時点で、ティーガー戦車の擬人化――正確には擬獣化だな――までは想定したんだよ。

 でっぷりした虎が、縦縞のやきう(野球)のユニフォームを着て、背中に戦車の砲塔を背負ってるの。

 メカ生命体とか、ミケーネの大公も当然想定してたさ。

 赤いシャツを着た虎の少年がティーガー戦車に乗って「パンツァーフォー」っていうのも、一応考えた。でも、さすがにそれは無いなって思ったよ。

 で、ゴーレムと合体って聞いた時点で、バリエーションもあれこれ考えた。

 でもね、ティーガーII戦車の車体(砲塔無し)に大きな虎が窮屈そうに乗ってる姿は想定できませんでしたよ、ええ。


 うん。こいつ、恐竜な戦車の大虎版なんだ。笑えるけど…。

 戦車の攻撃力を虎を乗せるために殺し、虎の俊敏さを鈍重な重戦車が殺す。

 悪いとこどりなんだよ…。



 俺はワオの前で静止した。


「お前がワオか?」

「そうですが、何か?」


 ワオの声は未成年のお兄ちゃんな感じ。ちょっと意表を突かれた。


「ヒノキソの森から手を引け。ドワーフもエルフも動物たちも、みんな迷惑してるんだ」

「却下。僕はあんなのをドワーフやエルフと認めませんよ」

「認めませんって、ドワーフはドワーフ、エルフはエルフだぞ?」

「どこがです? ドワーフは勇者が使うような名剣を作るためにいるんだ。武骨な実用品しか作らないなんて、そんなのドワーフじゃない!」

「お前、何を言ってるんだ?」

「エルフだってそうだ。整然とした都市を作ったり、コスプレしたりするのがエルフか? 違うだろ? エルフは森の中で簡素に暮らしているものだ!」


 ワオの言い分……まさか…な…?


「いや、お前、なんでそんなふうに思うんだ? どこかでそんなドワーフを見たのか? 誰かにエルフはそういうものだと聞いたのか?」

「ああ、見たよ、聞いたよ、NPCもそうだったよ!」


 ああ、やっぱりな。

 こいつ、ここじゃない世界を知ってるんだ。


 だからと言って、特別扱いはしないけどな。


「それで、森に住んでる連中を攻めたわけか」

「そうだよ」

「もう一度だけ聞くぞ。止める気は無いか?」

「無いね」

「そうか、残念だよ。消滅弾エクスティンクションブレット!」


 ワオは跡形もなく消え去った…。

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