56.俺、メガシンカを目撃する
オビーロのホーンラビット、メチャメチャ好戦的だな
俺としては、無益な殺生を避けたいんだが…。
よし、新魔法で切り抜けよう。
姿を隠してこの場を立ち去るんだ。
……高く飛べって言葉は、口にしちゃだめだよ。
ここは空中だから、保護色は使えない。
そこで、光学迷彩の出番です。
周りの光を操作して、スライダークゴーレムを迂回させる。
そうすると、あらあら不思議。スライダークゴーレムは見えなくなる。
こんなこともあろうかと、本体には補助術式が仕込んであるんだ。
「光学迷彩、発動!」
よし、成功。
ふっふっふ。見たまえ、ウサギどもが戸惑っているぞ。
ロップイヤーも、見当違いの方向に魔力弾を撃ちまくってる。
ま、当然だな。
知恵比べで人間がウサギに負けるはずがない!
お、ロップイヤーくん、悔しそうだな。
2つある太陽を交互に睨んでるよ…。
ん?
睨むのを止めたな。
諦めたか?
おっ、俺の方を向いたぞ。
気のせいかな? 睨んでるような…。
「!?」
おいおい、マジかよ。
俺めがけて火山弾がたくさん飛んできたよ。
右ストレートからそんな物を放つとは、なかなか器用なやつだな。
ほんじゃ、すいーーっと避けますよっと。
あれっ!?
ロップイヤーくん、また俺の方を睨んでね?
まさか…、俺が見えてる?
ひょっとして…、目が進化した!?
おう。
今度は小さな銀河が飛んできた。出所は左ストレートだ。
この形状はアンドロメダ銀河かな? 前世紀は天の川銀河もこんな形だと思われてたんだよなぁ。
で、肝心の攻撃は……なるほど、重力攻撃か。
うん、やっぱロップイヤーくん、俺が見えてるね。
それに、ギャラクティカなパンチを左右とも持ってる。
……こいつ、思ってた以上にヤバいぞ。いろんな意味で…。
げげっ!
勘弁してくれよ!
右アッパーから虹が出たよ! 幻惑に紛れた切断攻撃だよっ!
駄目だこいつ…早く何とかしないと…。
左フックから無数のきらめく星を出されたら手遅れになる(謎)
気は進まないが、やむを得ない。
トンデモなパンチの使い手を放置するわけにはいかないよ。
「消滅弾!」
プラズマ球が直撃!
ロップイヤーは消え去った。
リーダーを失ったホーンラビットたちは、散り散りになって逃げ去った。
いやー、ロップイヤーくん、マジでヤバかったです。主に強さ以外で。
案外こいつがオビーロの魔王だったりしてな。
…可能性はあるな。
強さはアカドウより全然弱かったけど、エイユより数段上だったもん。
魔王と言えば、当面の問題はワオだよな。
単騎じゃアカドウ以下だけど手下が強い…か。
早くけりをつけて、枕を高くして眠りたいぜ……って、俺は寝なくても大丈夫なんだけどな。
さて、スライダークゴーレムの防御性能も試せたし、そろそろ帰るか…。