55.俺、対空砲火を浴びる
スライダークゴーレムの動力性能は把握した。
うん、納得の出来栄えだったよ。
ついでだから耐久力と言うか防御力と言うか、それも確認しておきたいんだけど…。
よし、オビーロに行ってみよう!
何故かって?
サスペンやヒノキソのモンスター相手じゃ、テストにならないからね。
オビーロになら、手ごろなモンスターが小数点以下の確率でいるかもしれないでしょ?
☆
はい、俺は今、オビーロ上空に来ています。
見渡す限りの草原です。
それでは、探知を使ってみましょう。
………。
……。
…。
ほほー。
それなりの魔物がいますねー。
ナゾノツボミが生み出してた雑魚(晴天ver)級の強さがありますねー。
数もかなりいますねー。
最初にいたときはわかりませんでしたが、意外と危険な場所だったんですねー。
以上、上空から俺がお伝えしました。
…あ、そっか。
そこそこ強い魔物だから、もっと強い俺を避けたのか。うん、納得。
それじゃ、高度を下げて接近してみよう。
気分はアレですよ。
アフリカの草原でヘリから獲物を狙うハンター。
魔物が群れてるあたりを目指して、いざ、降下開始!
「!?」
ちょっ!? おまっ!?
魔物の群れに近づこうとしたら、小型の地対空ミサイルが飛んできた件。
思わず回避しちゃいましたよ。
いやいや、ないわー。
ファンタジーな世界で、それはないわー。
火球とか魔力弾的な物を想定していた俺の予想は外れた。
「!」
またかよ…。
今度は回避せず、PPPBで対処。地対空ミサイルは消滅した。
それじゃ、どや顔で説明しよう。
PPPBとは、ピンポイントプラズマバリアの略だ。
超時空な要塞の初期のバリアをプラズマで再現したんだ。
うん、自己満だよ。
でも、戦いに適度な緊張感を持つって意味じゃ、これ、最高だと思うんだけど?
それと、飛んできたのはミサイルじゃなかったは。
どうも、魔物の角っぽいね。
狙いを定めて魔力で撃ち出してるんだと思う。
なんて物騒な魔物なんだよ…。
どんなやつなのか調べよう。
探知の解像度アップ!
……。
…ウサギだよ。
異世界モノじゃ定番の、ホーンラビットってやつだよ。
ただし、カンガルーぐらいデカいけどな!
人間じゃ防御力に全振りしてても、体当たりで倒されそうだよ。
角のないやつが2匹――これだけデカいのを羽で数えたくない――いるから、犯人はこいつらで間違いない。
ふむ、明らかにデカくて強いのがいるな。
こいつだけロップイヤーだ。
おっ? 立ち上がった!?
「!!?」
ち、ちょっ!? おまっっ!?
ジャンピングアッパーから魔力弾飛ばしてるんじゃねーよ!