51.俺、ドワーフの都市を見物する
「なあ、ルードラ。魔物が急に強くなった時、他に変わったことはなかったか?」
「申し訳ないであります。吾輩、ちょうど休憩中だったので、穴の中にいたでありますから…」
「そうか。じゃあ、魔物が急に弱くなった時は…俺に念話して到着を待ってたから見てる余裕はなかったか」
「その通りなのであります」
交代で休憩に来たドワーフにも聞いてみたけど、成果はなし。
ま、一生懸命戦ってる最中に、そこまでの余裕はないか…。
今回も肩透かしを食らった形だが、何もしないで引き上げたら負けた気がする。
よし。夜の予行演習を兼ねて、一発撃っとくか。
ルードラに声をかけ、近接戦闘中のドワーフたちに注意を促してもらう。
なるべくターゲットだけが凍るようにイメージを練り上げる。
うん、こんな感じだな。
「マーブ・フリーズ」
俺と同じぐらいの魔力の塊が森の上に散らばる。
魔力の塊はピンポン玉ぐらいに分かれて降下、木々の隙間を縫って魔物に当たる。
魔物たちは凍り付く。
よし、大体片付いたな。
デカいクマが少し残ったのは、厚い脂肪でも持ってるんだろう。
「いやー、ダール様の魔法は素晴らしいでありますなー」
「まったくです」
「さすがでございます」
「まあな」
こうして褒められると、気分がいいな。
お世辞抜きだから、よけいそう思う。
☆
「へぇー、これはすごいな」
「いやー、ダール様に感心してもらえるとは…。照れるであります」
俺、ドワーフの都市を見物中。
ガイドはルードラだ。
ドワーフの都市は、整然と作られた蟻の巣って感じだ。
ドーム球場がすっぽり入るぐらいの大ホールがいくつもあり、それぞれ通路でつながってる。
天井や壁は土魔法で固められているので崩れる心配はない。
大ホールも通路も、天井全体が発光して照明になってる。
理屈はわかんないけど、マナと反応して光る鉱石を使ってるらしい。その鉱石は、空気の浄化もしてくれるそうだ。
うん、謎鉱石第一号だな。
ホールの中は、建売住宅ぐらいの家が整然と並んでる。ただし、屋根はない。
2D見下ろし型RPGの町がリアルサイズで再現されたみたいだ。
唯一残念なのは、お店がないことだな。
武器工房の類はあるけど、販売はしてないんだ。
作っているのも武骨な実用品ばかり。
品質が高いのは間違いない。
でも、外見は、ゲームだと序盤で買えるような質素なものしかない。
商売って概念がないから、付加価値の概念も生まれてないんだろうなぁ。
ドワーフの総人口は1000人強とのこと。
3000人いるエルフの居住地が集落で、ドワーフの居住地は都市と呼ばれてる。
なんだかなぁー。
☆
「な、何ですとぉー!」
小一時間ほど見物してたら、ルードラが叫んだ。
「ダール様、大変であります! 魔物が強くなったでありますよー!」
おうふ。
なんかもう、ワケワカラン。




