50.俺、緊急連絡を受ける
この世界のドワーフは、他人を疑うということを知らなかったようだ。
俺が鳥と猫の怪しさを話したら、全力で驚いてた。
ドワーフは隠し事をしない。嘘もつかない。
超が付くようなお人好しで、超が付くほどバカ正直だ。
エルフもドワーフに対しては、同じように接してる。
だから、人を疑う必要が無かったんだ。
それで今までやってこられたんだから、この世界はいい世界なんだなって思った。
でも、それじゃ生きていけない時代が来ようとしている。
悲しいけど、それが現実なんだ。
今の件がひと段落したら、他人の言葉を鵜呑みにしないことを教えよう。
無条件に受け入れる前に、確かめる習慣を持ってもらうんだ。
とにかく、やるべきことはハッキリした。
まず、今あるナゾノツボミは殲滅する。
そして、鳥と猫を警戒する。
次も同じやつが来るとは限らないけど、そこはそれ。臨機応変ってやつだ。
残念だけど、俺の探知は魔物なしのナゾノツボミに反応しない。
今はトゥームラフレシアと同じで無害だから、放置しておいて問題ないだろう。
夜になれば魔物が生えるだろうから、探知が使える。
探知が使えれば、マーブ・アタックの冷凍版で殲滅できる。
…火とか毒だと周りに影響が出すぎるから、凍らせようと思ってます。
ハーピーたちも投入して、万全を期すんだ。
今の状況だと、俺がいなくても大丈夫だろう。
ドワーフは魔物より強いし、魔物の数も少ない。
そう判断した俺は、住処に戻ることにした。
族長たちは念話が使えるそうなので、俺に使うことを許可しておいた。
都合が悪い時は出なくていいので、大した問題じゃない。
エルフたちも戻ると言ったので、瞬間移動で送ってやった。
☆
拠点に戻った俺は、今夜連れて行くメンバーを考えた。
人数は3人。
俺の撃ち漏らしを片付けるのがメインだから、やっぱ索敵力は要るな。
となると、アケノは決定だな。
あと2人は機動力重視で選ぶか…。
他にもあれこれ考えてたら、一時間が過ぎてた。
何気なく外を見ると…今日も日差しが強いです。
これは、弱点克服プランBの完成を急いだほうがいいな…。
『ゼロゼロゼロ…』
おっと、念話のコール音だ。
発信元は…ルードラ!?
「ルードラか、どうした?」
『ダール様、緊急事態であります』
「何があった?」
『魔物が急に強くなったであります。それに、数も急に増えたでありますよ!』
「わかった。すぐそっちに行く」
俺は現場の天気を確認。
おまじないをしてから瞬間移動で飛んだ。
☆
「……」
「あれーっ、おかしいでありますなぁ?」
俺が現場に着いたとき、待っていたのは前回と同じ光景だった。
ドワーフが魔物を圧倒する。数も確実に減っていく。
ルードラは嘘を言ってない。実際、探知で調べたら確かに魔物は増えてた。
これ、どうなってるんだ?