47.俺、弱点を克服する
分身を住処に残し、俺はドワーフの都市に来ている。
太陽? 今日は曇りですが、何か?
ああ、俺の天気予想が的中したんだ。
たぶん、おまじないが効いたんだと思うよ。
…この先、俺の立ち回り先で曇りの日が増えるかもしれないけど、それは偶然だからね?
砂漠が毎日雨なら異常気象だろうけど、草原や森が曇っても不思議じゃないよね。
ということで、天気の件はこれまで。
うん、ドワーフが砂漠に住んでなくてよかったよ…。
「……」
何か、俺が思ってたのと違う光景が繰り広げられてるぞ…。
ドワーフたちは一生懸命戦ってる。
相手はナゾノツボミの中身だ。
デカいイノシシとか、デカいクマとか、デカいオオカミとか、めっちゃデカいサルとか、めっちゃデカいトカゲとか。
これは予想通りだった。
ただなぁ、ここまで一方的だったとは…。
これは完全に予想外だった。
いや、ドワーフが優勢なんだよ。
バリケードで止めて各個撃破がやっとって話だったのに、一対一でも優勢なんだ。
族長を探して聞いてみるか。
と思ったところに、エルフの族長一行がやってきた。
「ダール様、これは…?」
「ああ、ダフネか。いや、俺も不思議なんだよな。昨日の話と全然違うから」
「えっ? ダール様が何かなされたのではないのですか?」
「いいや、何にもしてない。それで、ルードラを探して話を聞こうと思ってたところだ」
「そうでしたか。おい」
ダフネは護衛に指示を出した。おそらく、ルードラを探させるんだろう。
少しすると、護衛がルードラを連れてきた。
「おお、ダール様。ダフネ殿も」
「挨拶はいい。それよりもだな、お前たち、魔物を圧倒してるじゃないか。昨日の話は嘘だったのか?」
「いやいやいやいや、嘘ではないでありますよ。今日はなぜか魔物が弱いのであります」
「ダール様、ルードラ殿の言う通りだと思います。昨日までは防戦一方でした。それは間違いありません」
ふむ。
族長二人がそう言うのなら、間違いないんだろう。
となると、魔物が弱体化した理由が問題だな。
んー、弱い分には問題ないから、後回しでいいや。
それより、ナゾノツボミの件だな。
「わかった。その件はもういい。それよりだな、お前たち、魔物が生える植物を知ってるか?」
「さあ、聞いたことがありません」
「そんな物騒な植物があったら、吾輩たちが根絶やしにしているであります」
ほうほう。これはラッキーかも。
ナゾノツボミは外来種の可能性が高くなったな。
「そうか。それじゃ、現物を見てもらおう。魔物が弱いなら、森に入れるだろ?」




