45.俺、森の草ぜんぶ抜く?
俺はウリ坊が生える花を『ナゾノツボミ』と呼ぶことに決め、3人を調査に出した。
森の魔物の数が多いことは、探知の反応で分かってた。
だけど、探知に予想外の問題があった。
今の時点じゃ理由はサッパリだけど、普通の魔物とナゾノツボミの区別ができなかったんだ。
理由を考えるのは後回しでいい。問題を解決するのが先だ。
彼女たちが調べてるのは2つ。
ひとつは、普通の魔物がどのぐらいいるか。
もうひとつは、ナゾノツボミから生えるのがイノシシだけなのか、だ。
ラッキーなことに、アケノは魔物とナゾノツボミを区別できた。
なので、彼女は俺が誘導し、魔物の反応が多いところを空から調べてる。
ビアンカとオトメは中身の調査。
見つけたやつを片っ端から開くだけの簡単なお仕事だ。
ただし、中身を切り取るのは厳禁。
と言うのも、新しく生えるやつほど成長が早くて強くなるってわかったからだ。
これは予想だけど、ドワーフたちが苦戦している魔物は、ナゾノツボミの中身だろう。
明るくなったら花が咲いて、中身が離れて魔物になるんだと思う。
なので、それを強くするのは以ての外だと判断したんだ。
…ああ、すまない。脳内IMEで変換できる漢字は使いたくてしょうがないんだ。やらないほうがいいってわかってるけど、ついやっちゃうんだ…。
今の時点でナゾノツボミを全て駆除することはできない。
元々の生態系に入っていたら、食物連鎖のバランスを壊しちゃうからね。
それをやるのは、エルフとドワーフに確かめてからだ。
……あの二種族を信用していいかと言われると、不安しかないんだけどね…。
弱点は調べた。
火と氷と毒に弱い。
引っこ抜くのは試してない。
マンドラゴラ的な性質があったら怖いからね。
おっ、アケノが戻ってきた。
「私が調べた限りでは、魔物は一匹もいませんでした。すべてナゾノツボミです」
「そうか、ご苦労」
むむむむむ。正直、一番聞きたくなかった答えだ。
今日は魔物を一匹も減らせずに引き上げることが決定しましたよ…orz。
おお、ビアンカとオトメも戻ってきた。
「中身は色々あったのです。イノシシの他に、クマとオオカミと大猿がいました」
「私は大きなトカゲみたいなのも見ましたよ」
「そうか、ご苦労。それじゃ、引き上げるぞ」
アケノが俺を抱え上げ、あとの二人が触れる。
俺たちは瞬間移動で住処に戻った。