44.俺、明日葉(アシタバ)の怖さを知る
俺たちは、探知に引っかかった一番強いやつの上空に着いた。
『アケノ、ビアンカ、オトメ、この下だ。気配を消して下りるぞ』
『『『了解です』』』
強いと言っても、武器を持ったドワーフなら一人で倒せるレベルだ。
3人は戦闘力でも上の中。何の心配もな……って、ちょっと待て!
『3人とも、ストップ!』
『どうしたのです? ダール様』
『違和感を感じた。解決するまで少し待ってくれ』
『はい、なのです』
さて、思い出せ、俺。
ドワーフの都市を出る前、そして今、確かに何かが違う。
…ドワーフの都市で探知を使った時は『武器さえ持ってれば、子どもでも一撃で倒せそうなやつしか見当たらない』だった。
でも今は、一番強い奴が『武器を持ったドワーフなら一人で倒せるレベル』だ。
……。
…子供じゃ…無理?
まさか、魔物の強さが急激に増してる?
『違和感は解決した。警戒レベルを最大にして降下再開だ』
『『『了解です』』』
おお、さすが異世界だ!
地上に降りた俺は、自然とテンションがあがった。
だってさ、見たこともない植物がたくさんあるんだもん。
今は寝てるっぽい人面樹や獣面樹、四葉のクローバーみたいなキノコ、赤と緑と青の3種類の葉っぱの木…etc.
メルヘンだなぁ…。
えっ? 着ぐるみエルフ? 何ですか、それ?
さあ、気持ちを切り替えて探索だ。
「ダール様、お腹がすいたのです」
「ああ、そんな時間か。悪い、ちょっと待ってろ」
いきなり気が抜けるセリフだけど、これはビアンカが腹ペコキャラだからってわけじゃない。
いつもなら、とっくに食事が終わってる時間なんだ。
むしろ、今までよく我慢していたと頭を撫でてやりたいぐらいだ。
と言うわけで、探知でササッと獲物を探す。
都合よく、近くにじっと動かないやつを発見した。
「そこをまっすぐ行ったところにウリ坊っぽいのがいるな」
「「「じゃあ、先に行って食べてまーす」」」
3人は無音で駆けだした。
「!?」
俺は3人に追いついた。
で、獲物を見て驚いた。
ウリ坊だと思ってたのに、成体より少し小さいイノシシじゃん。
俺に気付いたアケノが声をかける。
「あっ、ダール様。この花、凄いんですよ」
「凄いって?」
「まあ、見ていてくださいなのです」
ビアンカの側には、大きな花の蕾のようなものがある。
ん? 爪を出してるぞ。
「えいっ」
爪の一閃で蕾が開き、中身が見えた。
「えっ!? ウリ坊?」
「さらに、えいっ」
「ここからが凄いんですよ」
鎌で草を刈るように、ビアンカがウリ坊を切り取る。そしてオトメが告げた。
「うわわっ!? なに、これ…?」
「やっぱりダール様も驚いたのです」
「いや、これは驚くだろ…」
ウリ坊を切り取ったところから、新しいウリ坊が生えてきた!
しかも、どんどん育ってる!
明日葉ってレベルじゃねーぞ!