41.俺、エルフの集落に来たよね?
ただ待ってるのは時間の無駄だな。
族長が来るまでの間、ここまでの成果――俺にとっての新情報――を整理しておこう。主に地名だな。
今後出てくる地名も同じだから、先に言っておこう。
地名を付けたのは、大昔の人間だ。だから、人間の社会での名称になる。
天上界は黙認状態、竜王なんかは使ってない。
エルフは人間と交流があるから、そのまま使ってるわけ。
あと、経緯と理由は不明だけど、広域を支配する知恵ある魔物、例えば魔王なんかも使っているそうだ。
まず、俺が最初にいた草原だが、オビーロと呼ばれている。
俺がダッシュで着いた森がムラセイ。
魔法の実験台になったアカドウが支配していた地域だ。なお、アカドウは最強の魔王だったらしい。
呪文をミスって流れ着いた岩場がサスペン。
金メッキことエイユが支配していた地域だ。あの弱さで魔王だったの!? って、マジで思ったね。
ハーピーの住処もここにある。
エルフの集落がある森林地帯がヒノキソ。
ワイルドタイガーの魔王ワオの脅威にさらされてるところだ。
そのワオがサスペンに食指を伸ばすかもって聞いたから、俺はエルフに手を貸すと決めたわけ。
…ふと思ったんだけどさ、オビーロには魔王っていないのかな?
フラグを立てるつもりは1ピコメートルもないけど、気になったんだよね。
☆
俺inワンダーランド!
なあ、ちょっと聞いてくれ。
俺、エルフの族長を待ってたんだ。
でも、「お待たせして申し訳ございません」ってウサギの着ぐるみを着たエルフと一緒に出てきた男性が、だな。
立派な髭が生えてて、背が低くてがっしりしてて、絵に描いたようなドワーフなんですけど?
あとから2人続いてきた男性もドワーフ。
続いてタヌキエルフとフクロウエルフが入ってきた。
俺の対面にウサギエルフが立ち、隣にドワーフ。
あとから入ってきたドワーフとエルフは、それぞれ椅子の後ろでビシッっと立つ。4人は護衛ってことだね。
あれっ?
ウサギエルフって、よく見たら騎士鎧じゃね?
どーなってんの、これ? ワケワカラン。
「ダール様、先程は大変失礼しました。名乗る機会を逃してしまいましたので、改めて名乗らせていただきます。私はダフネ、エルフの族長を務めております」
ふぁっ!?
何? エルフの族長が騎士鎧着て「くっ殺」やってたの!?
で、正装が着ぐるみ!?
この世界のエルフ…大丈夫か? いろんな意味で…。
いや待て、じゃあ、隣のドワーフは何者なの?
「お初にお目にかかるであります。吾輩、ルードラと申す者。ドワーフの族長であります」
ほう、ドワーフの偉い人か。
エルフと違ってイメージ通り。俺、集落に来て、初めてホッとしたよ。
二人は座り、話を始めた。
「ヒノキソにはドワーフの都市もありまして、そこが魔物との最前線になっているのです」
「吾輩たちも最善を尽くしているのでありますが、食い止めるのが精一杯なのであります」