32.俺、さらに魔法を教える
治癒魔法も全員マスターできた。
最後は俺にかけさせて確認したから大丈夫。
あとは、各自が腕を磨いてくれれば、実戦でも使えるだろう。
今回は誰も進化しなかったけど、これは当然だな。
だって、これで進化するなら、ジュリはハーピーヴァイカウンテス以外に進化してたはずだもん。
次は、金切り声のパワーアップだ
ハーピーたちは無自覚だけど、金切り声は、振動魔法の一種なんだ。
ハーピーが使えるのは、睡眠と混乱。睡眠は心地よい周波数で眠りを誘い、混乱は耐え難い高周波で精神を乱してるわけ。
これはハーピー時代から変わってない。
なので、バリエーションを増やしちゃおうってわけ。
全員が使えて、練習が簡単なものが理想だな…。
そうだな、空気を振動させるのは全員出来るから、超振動波を教えよう
超振動波は風魔法に分類されるけど、物理攻撃でもある。この世界で有利な技だ。
この世界は、攻撃側に有利にできてる。
超振動波のように複数の属性を持つ攻撃手段が存在し、防御側の耐性の弱い方でダメージが決まるんだ。
超振動波だと、物理と風魔法の両方に耐性が無いと軽減できないってわけ。
これも俺が実演し、理屈を説明する。
あ、威力は押さえましたよ。住処を壊しちゃ洒落になりませんから。そもそも、本来の用途は地中を掘る技だし…。
練習は各自に任せる。なんせ、必要なのはパワーだから。
俺の見立てじゃ、今は全員パワー不足。ひと月ぐらいでできればOKぐらいに考えておこう。
声つながりってわけじゃないけど、遠距離通話も使えるようにしたい。
前世じゃテレパシーとか念話とか呼ばれてたやつだ。短いから、俺も念話と呼ぶことにしよう。
魔法と言えるかどうかは?だけど、持っておきたい能力だ。
俺とハーピーたちは、離れていても意思の疎通ができる。絆の回線のおかげだ。
でも、ハーピー同士は、声が届く範囲じゃないと無理。これを何とかしたいんだ。
住処内で相手を探し回らなくてよくなるし、狩りで連携も取りやすくなる。
ただ、念話は俺も教えることができない。
だって、俺も使えるかどうかわかんないもん。
できるだろうとは思う。でも、確かめるには相手がいる。ハーピーたちじゃ、それができない。
さて、どうするか…。
……。
…よし、とりあえずやってみるか。
俺はマリューとナタルを呼び、俺経由で互いに呼びかけることを何回かさせた。
もちろん、声を出さずに念じてだ。
俺の役目は、一方からの念を、もう一方にそのまま流すこと。ネットワークのハブのイメージだな。
最初はお互いが見えるところからスタート。
当然、まったく反応がない。
「ねえ、まだ呼んでないの?」
「いや、さっきから呼びかけてるぞ」
こんな感じだ…。




