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31.俺、治癒魔法をレクチャーする

 治癒魔法も見本を見せるのが一番……なんだけど、だれかを怪我させて治すって方法は取れない。人体実験と一緒だもん。

 獲物になるような小動物を用意して傷をつけて治すってのもNGだ。画的にマズいってのもあるけど、その経験がもとで獲物を仕留めるのに躊躇ためらいを持つようになると困る。


 じゃあどうすんのって話だけど、答えは簡単。動物じゃなくて植物で練習するんだ。具体的には葉っぱだな。


 植物で練習するメリットは多いよ。

 良心が痛まないってのも、当然ある。

 でも最大のメリットは、ちぎった葉っぱも、ちゃんと生きてるってことなんだ。

 治癒魔法は生きてるものにしか効かないからね。



 治癒魔法の仕組みは、世界によって違う。

 成長を促進して怪我を治すタイプと、自然治癒力を高めて怪我を治すタイプが主流だ。

 両方とも植物で練習できるけど、前者はそのままじゃ動物には使えない。ほら、葉っぱの虫食いは、葉っぱが大きく育っても治らないでしょ?


 この世界の治癒魔法は、自然治癒力を高めて怪我を治すタイプだ。

 植物で練習した通りにやれば、動物も治せるってわけ。



 俺は葉っぱに穴をあけ、治癒魔法で治して見せた。

 ハーピーたちが感心でどよめく。


 次に、穴がふさがった理屈を一通り説明する。

 生き物は細胞の集まりで、怪我が治るのは周りの細胞が分裂して塞いでいくからってやつだ。

 ぶっちゃけると、これは細かいところまで完全に理解できなくていい。

 ほっといても傷は治る。治癒魔法はそれを早めてるんだって事さえ分かればいいんだ。


 何故そんなことを? と思うのはもっともだ。

 り傷が自然に治ることぐらい、ハーピーたちも知ってる。

 でもね、治癒魔法が必要なレベルの怪我っていうのは、ほっとくと助からない怪我なんだ。

 それが自然に治る――後遺症は残るかもだけど――ところなんて、誰も見たことないんだよ。

 俺は、大怪我でも同じなんだってことを知ってほしかったわけ。


 もちろん、完全に理解できてた方が、効率が上がる。早く、きれいに治せる。

 でも、それは魔法を使えるようになってからでもいい。

 簡単に言うと、魔法を使えることが基本、効率を考えるのは応用だ。



 みんなが練習している間、ジュリには応用に取り組んでもらう。

 具体的には、きれいに治すことを覚えてもらうんだ。

 と言っても、日本人なら常識レベル。

 傷口が汚れていたらきれいにするとか、骨が折れていたらまっすぐに固定するとか、そーゆー類。


 この世界の治癒魔法は、雑菌を殺す程度はしてくれる。

 でも、体内に入り込んだ砂なんかを出してくれるかは運次第。傷口が先に塞がると、中に残っちゃうんだ。

 使い慣れれば異物を排出するように治せるけど、最初は手で取り除く方が確実だ。


 骨折も同じ。

 ちゃんとした形で固定しないと、変な形でつながっちゃうでしょ?

 この世界の治癒魔法じゃ、事前の処置なしでバキバキに折れた腕を完全に元通りにすることはできない。そう、緋の目の鎖使いの真似は無理なんだ…。


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