30.俺、懲りずにやらかす
ああ、そうなんだ。
俺、またやっちゃったよ…。
ハーピーたちに氷魔法を教えること1週間。
フレイ、ミユ、ユア、ココア、メイの最年少組が氷魔法を習得し、全員が氷に耐性を持った。
弱点が消えたハーピーバロネスは、ハーピーヴァイカウンテスに進化しちゃいましたー。てへぺろ。
…スライムな俺がどうやって舌を出すのかは考えちゃいけないよ。いいね?
戦闘力は大幅に向上。
ハーピーバロネスが空を飛べて混乱と睡眠を使えるオーガなら、ハーピーヴァイカウンテスはプラスで風と雷と氷も使えるオーガロードだ。
外見も変わった。
羽がカラフルになった。
適性と耐性が影響しているらしく、必ずどこかが違ってる。大人数のアイドルグループの衣装みたいなものだな。
そして、新しい能力を獲得。
手足が変形できるようになった。普段は人間と同じなんだけど、戦闘時は鋭い爪がでて、鱗のような膜で覆われる。
つまり、物理も強くなったわけ。
進化で使えるようになった魔法や能力は、元々持ってたみたいに感じるそうだ。なので、いきなり必殺技ぶっぱもできちゃう。
…俺が地道に能力を確認したのと比べると、差がありすぎませんかね…?
いやーー、マジで一大戦力っすな、これ。
カラスの1個師団はキツイけど、1個連隊(3000羽ほど)ならなんとかできるんじゃね? って感じ。
この調子で能力を上げていけば、当面の目標達成は近いよね。
というわけで、どんどん魔法を教えちゃいましょう。
まずは、全員が適性を持ってる魔法を全てマスターさせる。その後で、個別に適性を伸ばすんだ。
教え方は単純。
まず、俺が見本を見せる。
氷魔法の場合は、拳大の氷を人数分作って一人一人に渡した。
それで、氷がどんな物かをしっかり覚えてもらったんだ。
冷たいとか、融けると水になるとか、氷同士を合わせるとくっつくとかね。
それが済んだら、水を凍らせる練習だ。
俺は水だけ用意して、あとは各々に任せた。
マリューとジュリは早々に成功してたから、地頭がいいんだろうな。
成功者が出れば、あとは楽だ。
同じ種族なら、同じ方法が通用する。人間が呪文を唱えるのも同じ理屈だ。
俺じゃわからない微妙なニュアンスも伝えやすい。
二人が教える側に回ったら、続々と成功者が出たよ。
今から教えるのは治癒魔法。怪我を治す魔法だ。
実はジュリが使えるんだけど…、それは生まれつきだったんだ。
なので、どうしたら使えるようになるのかを人に教えられない。
ほら、当たり前にできることって、具体的な仕組みとか過程とか考えないでしょ?
二本足で歩くのがどれだけ大変かなんて、考えたことないでしょ?
それと同じなんだよね。
ハーピー時代にココアとメイに教えてって頼まれたけど、どう教えたらいいのかサッパリだったそうだ。
でも、俺の無駄知識には、そーゆーのも入ってる。
可愛い娘たちのためだから、出し惜しみせず使っちゃおう。




