29.俺、魔改造に成功する
狩りを終えたハーピーたちは、全員がホールに集合。
氷魔法に興味津々なようだ。
うんうん、わかるぞ、その気持ち。
と言うのも、ごく一部を除いて、鳥系のモンスターは氷に弱い。ポケットなモンスターと同じで、他の魔法の2倍ほどダメージを受ける。
なぜそうなるのかも単純明快。翼が凍るとまともに飛べなくなるからなんだ。
氷ダメージ+、飛んでたら落下ダメージ、地上にいたら飛べなくなった精神的ダメージって感じかな?
翼が凍るとまずいのは、飛行機も同じ。だから、翼には防氷装置や除氷装置が付いてる。これ、豆ね。
で、弱点を解消する方法の一つが、氷魔法をマスターすること。例え4倍弱点でも、一気にやや強いレベルになる。何世代か前の狩りゲーのネコ飯みたいなものだね。
これも理由は簡単で、術者が凍ったら洒落にならないから。
弱点攻撃を受け続けて耐性を上げるのは超ウルトラ大変。だって、下手したら死んじゃうんだもん。
でも、魔法をマスターするのは適性さえあればできる。マスターと同時に耐性が得られる。だから、時間はかかるかもしれないけど、命の危険はない。
そりゃ、参加しないほうがおかしいでしょ。
一応言っておくと、好き放題に魔法を使ってる俺は、国民的RPGのメタルなスライム以上の耐性を持ってます。
……これで陽の光に弱いなんて、どんな嫌がらせだよ…。
それじゃ、練習に入る前に、全員の適性を見ておこう。
探知発動!
えっ?
探知でそんなことができるのかって?
うん、できるように魔改造したんだ。
この世界では、データを直接見る魔法は使えない。地図とか鑑定とかステータスとかね。
でも、「データとして見なければOKなんじゃね?」って思ったわけだ。
探知では、相手の強さがなんとなくわかる。微妙な差だけど、強い奴ほど靄が濃いんだ。強い奴ほど姿を隠せるって感じなんだろう。
そこで、やってみましたよ。ハーピーたちを相手に。炎の耐性だけ探知できないかなって。
そしたらできちゃったんだな、これが。思ってた以上に個体差があって、正直、驚いた。
あとは簡単なお仕事でした。
属性ごとに色を決めて、靄にそれを反映する。
なんということでしょう。
探知で耐性もわかるようになりました。
同じ要領で魔法の適性も、大まかなステータスもわかります。
いやーーー、探知、マジSUGEEEE!
ということで、全員の適性をさっと見る。
時間を加速してるから数分で終了。
そしてわかった驚くべき事実。
フレイがとんでもない素質を持ってたよ。
適性のレベルは年相応。
ただし、その数が凄い。俺が思いついた属性全てに適性があった。
つまり、適性さえ伸びれば、俺と同じことができるようになるんだ。
こうなると、彼女が俺と会ったのは、偶然とは思えない。
竜王が隠してたのは、このことだったのかもしれないな。




