2.俺、弱点が判明する
あ゛ーつ゛ーい゛ー。
ダッシュでクレーターから離れた俺は、超ピンチに陥ってる。
雲が晴れたら、真夏の太陽が襲ってきたんだ。しかも二つ。
…実際は真夏じゃないかもしれないけど、それは置いておこう。
いや、これ、おかしくね?
俺、熊の火球受けても平気だったよね?
なのに、強烈な日差しで身体から水分がどんどん蒸発していくんですけど?
もしや、これがポケットなモンスターで言う天候ダメージ?
推定水系な俺は日照りでダメージを受けるのか!?
やばいやばいやばいやばいやばい!
このままだと、某ネトゲのベンチのオレンジなスライムと同じ運命が待ってる!
確か…あのベンチだと…。
よし!
魔法で雨を降らせよう!
冗談で熊破斬が使えたんだから、きっとできる!
………。
……。
…いや、俺、雨を降らせる魔法なんて知らないし。
根拠はないけど「魔法 雨」でググっても出てこないと思うし…。
仕方ない。ダメ元で念じてみるか。
「雨よ降れー」
………。
……。
…ですよねー。
さっきと違って、魔力っぽいものを感じなかったもん。
そりゃ、何も起きませんって。
……。
…いや、悠長に構えてる暇はないから。
こうしてる間にも、俺、どんどん干からびてくから。
雨がダメなら水だな。うん、水に籠ろう。
「海流の揺り篭」
おお、今度は魔力っぽいものを感じたぞ。
魔法は成功。俺は水球に包まれた。
ふぅー、生き返るぜ…。
ほほう、こんなところに道があったのか。
柵の中に動物がいるな。
ってことは、牧場かな?
おお、足が見えないほどモコモコな羊だ。足が八本ある馬もいる。
さすが異世界。見るものすべてが新鮮だ。
………。
……。
…あれ?
俺、動いてないよね?
なんで景色が変わるの?
……。
…俺、水球ごと流されてるんじゃね?
なんで? どうして?
…あ、海竜って言うはずのところを海流って言っちゃったんだ。
そりゃ、流されるわな。
ま、いっか。
行けるとこまでこのまま行こう。
そうそう、またひとつわかった。俺、呼吸が要らない模様。
やがて水球は道を外れ、岩場に流れ着いた。
ちょうど窪みになってるから、一休みだね。
太陽はまだ出てる。
外に出るのはまずい。
しかし、意外な弱点があったな。
晴れた日に外に出るのは、言葉通りの命がけだよ。
他のスライムを見かけないのは、これが原因じゃなかろうか?
水球も小さくなってるし、日陰――洞窟がベストだな――を探そう。