18.俺、竜王と初顔合わせする
ハーピーの住処から、ほぼ南東の方角。
思った以上に広かった岩場を抜け、山をいくつか超えた湖の中央に、竜王の城はあった。
移動は夜の間だけ。ペースはフレイに合わせたけど、2泊3日で着いちゃった。
…グリーンドラゴンの彼、飛ぶのが苦手なのか? と思ったけど、城から来たとは限らないことに気付いた。
この世界、それなりに広いようだな。
フレイが同行してるのは、竜王側が望んだから。
理由? 俺も知りたいよ。
もちろん、本人が一番驚いてた。でも、すぐにOKしたんだ。それで一緒に来てるわけ。
それじゃ、竜王について確認しておこう。
名前はハーブ。
体毛で覆われてるタイプのドラゴンで、体長は最大で40メートルまで可変。通常は人間の姿でいるらしい。
俺の知識だと、体表が毛のドラゴンは、鱗や皮のドラゴンより格上。神か、その代理って扱われ方だった。
竜王も、そんな感じ。世界の東方を守護する聖獣らしい。
ドラゴン以外の者と会うことはめったにないそうだから、スマホがあったらツーショット撮って得意げにインスタ上げるところだね。
☆
うわっ! でっけぇー…!
竜王は最大サイズで出迎えてくれた。おいグリーンドラゴン、普段は人間の姿って言ってたじゃないか…。
圧倒されて言葉が出ない俺。
いや、想像してみてよ。手のひらに一円玉乗せたとこ。竜王から見たら、俺、その一円玉より小さいんだぜ…。
「ダール殿、よくぞ参られた」
大気を震わす竜王の声。
ポカーンとしてたマリューとフレイがビクッってなった。
そう言ってる俺も、半分ほど飲まれかかった状態です。
いや、ここで飲まれたらダメでしょ。
相手は俺を対等な客人として迎えてるはず。じゃなきゃ、問答無用で呼びつけてるよね。
キャラ作ってでも頑張らなきゃ。
「ああ、招待に感謝するよ、ハーブ殿」
「ふむ、度胸はあるようだな。よかろう」
竜王がニヤリと笑った気がした。
――と思ったら、うぉっまぶしっ!
眩いくらいに輝いた身体は、一瞬で人の姿になった。
金色の髪は、長めの上面を平らに切り揃えた角刈り。精悍な顔つき。鍛え上げられた体に、少し日に焼けた色の肌。
漫画のキャラで言うと、元斗皇拳の金色の人のイメージだ。
…な、なんだよ、これ……。
巨竜だった時以上の存在感。
威圧はされてない。でも、身じろぐことすら許されてない。そんな不思議な感覚だ。
どんな無茶振りされても、素直にやっちゃいそうな気さえする…。
…ああ、それは困るな。
俺、一番偉い神様から「好きなようにしてOK」って言われてるんだ。
こんな訳の分かんない感覚に囚われるのはゴメンだね。
俺がそう思ったのと同時に、不思議な感覚は消えた。
そして、刹那の間だけ、竜王は驚いた顔をした。
ここまでの流れ…。
俺、間違いなく試されてる…よね?




