17.俺、俺より強い(かもしれない)奴に会いに行く
「!?」
グリーンドラゴンの巨体が淡い光に包まれた!
そして見る間に小さくなる。
超巨大熊のサイズから、人間のサイズになった。
『邪魔するぞ』
奴の声が、頭に直接届く。
そして中に入ってきた!
ハーピーたちは……あれっ、全然慌ててない!?
マリューとナタルは普段通り。他の面々は臣下の礼をとってる。
…えーーっと、もしかして、お知り合い…ですかぁ?
「遠路はるばるようこそ」
『ああ。で、その姿は?』
「私たち、ダール様より名前をいただきましたの」
『な、なんと! それでは、落とし子様が?』
「ええ、こちらがダール様です」
そう言うと、マリューは俺を抱き上げた。ふかふかの感触が素晴らしい。
…いや、今はそんなことを気にしてる場合じゃないから。
『おお、この方が…。ご挨拶が遅れたこと、お許しいただきたい。某は名無しの身。ハーブ様より命を受け、この地の調査に来た次第です』
このグリーンドラゴン、マジでハーピーたちと知り合いだった模様。
そしてさすがはドラゴン。名無しなのに、感じられる強さは超巨大熊より上だ。
俺はキャラを作って鷹揚に返す。
「ダールである。続けるがよい」
『ははっ』
うーん。このキャラ、俺には合わないな。次からは自分体で行こう。
グリーンドラゴンは恐縮中。このドラゴン、意外と小心者なのか?
空気を読み、ナタルが彼に話題を振る。
「調査って、何をだ?」
『あ、いや、このあたりで強い光を見た者がいてな、それを調べに来た』
「強い光ですか…。それは、いつのことなのでしょう?」
『1週間ほど前と聞いている。確か…昼頃とか聞いたな』
「昼間か…。すまんが、それだと力になれんな」
「そうですね。そのような話も聞いておりませんし」
『気にすることはない。調査中は騒がしいだろうから、事前に教えに来たまでだ』
「それはご親切に、どうも」
『それでだな、別件で頼みがあるのだが』
「なんでしょう?」
『うむ。落とし子様のことなんだが、ハーブ様も気にかけておられて、だな』
「ああ、そういうことですか。ダール様、竜王殿がダール様を招待したいそうですが、いかがなさいますか?」
ほほう。何度か名前が出てたハーブ様って、竜王だったのか…。
どこかで聞いたような語感なのは、偶然だよね。
それはともかく、ドラゴンのトップが招待してくれてるんなら、断る選択肢は無いな。
多分、この世界でも、ドラゴンは最強のモンスター。そのトップがどれほどすごいのか、実際に見て確かめたい。
「その招待、ありがたく受けるよ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
グリーンドラゴンの来訪から2週間後、俺はマリューとフレイを伴い、竜王が住む地へと飛び立った。