140.俺、進化することになりました
主様との謁見は唐突に始まった。
主様はいつの間にか玉座に座してて、側近ズも控えてた。
歩いてくれば、当然目に入る。姿を消しても、気配は感じる。
転移魔法を使ったんなら、空間の揺らぎが伝わってくる。
なのに、隣にいるお姉さんも、主様も側近ズも、いつそこに現れたのかが1ピコもわかりませんでした!
さすが天上界の神々、俺との力の差は歴然。象とアリどころか、太陽とミジンコ以上にあると思う。
まかり間違って戦うことになったら、主人公補正があっても勝率ゼロ。
仮に、俺の攻撃が通じるとしても、相手を捉えないことには当てられないからね。
まじめな話、「当たらなければどうということはない」の逆で、「当たらなければどうしようもない」んだよ。
「(ダール様、不遜ですよ)」
おうふ。
お姉さんが小声で忠告。
そう、これもあるんだよね。
俺が考えてること、神様には丸わかりなんだもん。
下手なこと考えたら、その時点でデコピン一発。俺、何かする前に終わりです。
ん?
今気付いたけど、俺、もしかして神様のオーラに耐性ができてる?
夢で見たときは神々しさに圧倒されたけど、今は普通でいられるぞ。
それとも、オーラは覇○色の○気みたいに調節可能なのかな?
まあ、こんなことを考える余裕ができたってことは、だいぶ落ち着いたってことだな。
「「ダール様、この度はお疲れさまでした」」
見計らったとしか言いようがないタイミングで側近ズの声。
しかも、お姉さんに続いて「ダール様」と敬語。
前に夢で見たときは、丁寧な言葉遣いではあったけど、向こうが上の話し方だった。
俺、知らないうちに出世でもしましたか?
って、待て!
出世したからって、神様から敬語を使われるか、普通?
神主が出仕から禰宜になろうが、宮司に上り詰めようが、神様に頭を下げる立ち位置なのは同じだぞ!?
これってどういうことですかね?
「その答えは私が教えますよ」
おおぅ。
もはや聞きなれたと言っていい主様の声。
俺、反射的に見上げちゃいました。
えっ!?
主様はサラサラ黒髪のセミロング。ご尊顔は癒し系の超絶美少女。現実にはいないと思うけど、日本人の女子高生的なイメージだ。
率直に言わせてもらうと、自分が楽しいからという理由でG細胞回収イベントを無茶振りするような性格には全然見えない。
そして、俺のスライムビューは、側近ズの姿もしっかり捉えてました。
右側の側近はプラチナブロンドのマッシュルームボブ。可愛らしい系のお姉さんで、北欧系の女子大生的な容姿。
そして左側の側近は、ブロンドで軽くウエーブがかかったセミロング。綺麗系の女性で、ラテン系のお姉さん的な容姿だった。
うん。
神様って、もう少し大人のイメージがあったから、ちょっと意外だったんだ。
一呼吸置いたのち、主様は言葉を続けた。
「あなたは進化に必要な試練に挑み、誰もが納得する成績でクリアしました。よって、これより進化の儀を執り行います」




