135.俺、曰く付きの細胞でできてました
マナイーターの件は、ひと段落した。
俺は住処に戻った。――んだが、シルフとキンリーもいるんだよね。
二人で何やら話した後、シルフがキンリーを誘ったんだ。
ハーピーたちは大騒ぎですよ。ええ。
なんせ、自分たちに加護をくれる精霊が、鳥系モンスターの頂点を連れてきたんだから。
騒々しい状態はもうしばらく続きそうなので、今のうちに情報を整理しておこうと思う。
まず、キンリーは今回が3回目の復活とのこと。
そう。迷い猫とは無関係なはずなのに、すでに2回死んでたわけだ。
1回目は完全に凍った状態で衝撃を受け、バラバラになった状態から復活。
2回目はエネルギーを奪われて、中の人がいなくなった着ぐるみのような状態から復活したそうだ。
そのやられっぷりを聞いて、別人なのに帰ってきた扱いされたウルトラなスーパーヒーローを思い浮かべたのは、俺ぐらいだろうな。
まあ、そんなわけで、過去2回は一応身体は残ってたから、短時間で元に戻れたらしい。
一方、今回は完全に消滅しちゃったから、身体を作る分だけ時間がかかった模様。
そうそう、情報の提供元は、まさかの分身ズだ。
4体の口調が揃ってる時に限り、理のデータベースへのアクセス権限が一段階上がるらしい。
そのおかげで、俺と4体の分身が直面した謎現象に関する情報を、いろいろ得られたってわけ。
次。キンリーの新たな身体の材料になったのは、正真正銘の大マジで俺の細胞だった。
マナイーターとして持ってたマナの全てを俺の細胞に変換して、身体を再生したらしい。
理には今回のようなケースの復活パターンまで定義してあったそうだから、驚きというほかはない。
とりま、俺が分裂したり産卵したりすることはないってわかったから、正直ホッとしたよ。
で、ちょっとアレなのが、俺の細胞に呼び名があったってこと。
いや、呼び名があること自体はいいんだよ。
ただ、その呼び名がだな、前世で何年か前に騒がれた細胞と同じなんだよ。
うん。この世界の管理者の上の方――命名権を持ってるレベル――に、日本のことを知ってる人が絶対いるよね。
話を戻そう。
その名はSTAP細胞だ。もう忘れちゃった人も多いかな?
最終的にほぼ否定されちゃったけど、再生医療への貢献がメチャメチャ期待された細胞だ。
ちな、STAPとは、刺激惹起性多能性獲得(Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency)の頭文字。
残念な結果にならなきゃ、試験に出たかもしれないね。
一方、俺のSTAP細胞はマジもんだ。
なんせ、ゼロから聖獣の身体になっちゃったんだからね。
ちな、この場合のSTAPは、スライム転生性多能性獲得(Slime-Transmigrated Acquisition of Pluripotency)の頭文字だ。
試験には出ないと思うから、軽く流してくれて構わない。
そうそう、普通のスライムの細胞は、STAP細胞じゃないからね。
これは試験に出るかもなので、覚えておくといいかも。




