108.俺、G殲滅に乗り出す
このGは危険だ。
今は小動物がメインの群れだから大した脅威じゃないけど、放っておくと手が付けられなくなる恐れがある。
いや、もしもの話だけどさ、エルフやハーピーが群れに加わったことを考えると…ね。
俺はGを駆除することにした。
そうだな、動物には罪がないからGだけをピンポイントで凍らせよう。
一匹だけ目立ってる大猿がいるからそいつを狙って、試しに一発。
「氷結弾!」
青白い光球が頭上のGに命中!
Gは凍りつき絶命。大猿からはがれて落ちた。
やったね、俺。
「!?」
うわっ、最悪…。
なんと、Gが乗ってた大猿も倒れて動かなくなってしまった。
探知で見ると、生命反応なし。
Gは道連れ系の能力を持っているっぽい。
これで動物ごと殲滅する以外の選択肢がなくなった。
俺の中で、Gの危険度と厄介度がグーンと上がった。
さて、どうやって殲滅するかだが…。
グロいのとかスプラッターな画は見たくない。
となると、即死系の魔法だな。
「一撃必殺死!」
地割れが走り、動物たちが落ちる。
が……なんということでしょう。
Gは飛んで難を逃れた!
おうふ。
俺、飛んでるGが超苦手なんだよね。
という事情で集中が乱れ、魔法は中断。地割れが閉じたところで終わってしまった…。
『うはっ。何、今の。超ヤバかったんですけどwww』
『地割れなんて起こせるやつがいたんだ』
『だるまさんがころんだ』
『えーっ、また「だ」なの? じゃあ、だいじょうぶだぁ』
『うん。流石だよな俺ら』
いきなり念話が飛んできた。
内容は雑談。しかも、少しルナティック。
人間社会だったら、そーーーっと離れる一択の集団だ。
『誰かが私を呼んでいる?』
『幻聴?』
『どこかで知らない声が聞こえてる』
『お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんかー?』
『いや、違うし。みんなも耳を澄ますし』
『『『あ、マジだ…』』』
ん?
好き勝手に動いてたGたちが、ピタっと止まったぞ…。
これってGの雑談なのか…?
『空を見ろ!』
『鳥か?』
『星を見ろ!』
『ネビュラの星?』
『幸運の星じゃね?』
『巨人に一票』
『ラ・セーヌだろ、JK』
『あ、かつてない巨大な青い星を発見』
『それって、世界が終わる前兆じゃないですかぁ』
『世界は終わらない!!』
Gは子ども用プールぐらいの輪になって、グルグルと走り出した。
速度が徐々に上がり、黒いドーナツのようにも見える。絶対食べたくないけどね。
ただ、世界にはGを食用にしているところもあるらしい。ネットで見たときは驚いたよ…。
やがてGは溶けてつながって黒いバターに…はならず、中央に謎の物体が生えてきた。
しいて例えるなら、ファラオのミイラが入ってそうな人型の棺っぽい形状。ただし、色はGの色。
流れ的には、火星で異常進化した人型のGが入ってても不思議じゃない。
あー、やだやだ…。