107.俺、24時間戦えますよ
住処に戻った俺は、ふと思いついて、見張り役だった分身と合体してみた。
結果はトータルの戦闘力が1体ぶん向上。これは予想通りだ。
ただ、3体目や4体目の分身と合体したときは、そうならない可能性が高いと感じた。
ついでに、合体だと分身からのフィードバックが情報に限られることが分かった。
身体や魔法の能力向上は、いったん分離して分身を解除しないと得られない模様。
合体と分離で呼び出しと解除の代用はできないってことだね。
今日はもう出かけないので、分身2体と合体したままでいよう。
☆ ☆
そろそろ狩りの時間になろうかという頃、探知に妙な反応が現れた。
小動物の集団っぽいんだが、種がバラバラ。
さらに、一匹一匹が異常に強い。何倍も大きなオオトカゲと同レベルなんだ。
そんな反応が探知圏外からじゃなく、いきなり圏内に現れた。
まあ、強いといっても所詮は小動物。ただちにハーピーたちの狩りに影響を及ぼすレベルではない。
でも、突然現れたのは気になる。
というのも、俺が知ってる小説には、外見が同じでメッチャ強力な魔物が現れた話もあるからだ。
ドワーフの鉱山に、オークの群れが住み着いた。
ドワーフたちは腕に自信がある。楽勝だと思って戦いを挑んだ。
そしたら相手はオークロードより強くて惨敗した。
そんな話だ。
異常に強いオークが現れたのは、別の世界――強いオークが元々いた世界――と空間がつながったからだ。
もしかしたら、同じようなことが起きてるのかもしれない。
これは、調べておいたほうがいいな。
俺はハーピーたちに状況を説明し、現場へ飛んだ。
☆
「なっ!?」
現場についた俺が見たのは、頭にGを乗せた動物たち!
しかもそいつら、群以外の動物にケンカをフッかけまくってる!
正気の沙汰とは思えない行動だ。
頭にタコを乗せた人間がおかしなことをするのは前世紀のアニメで見た。
でも、頭にGを乗せた動物の異常行動ってのは初めて見た。
……あ、頭にGが乗ったら、俺も思いっきりパニクるか…。
おそらく群が通っただろう後には、結構な数の動物がダウンしてる。
「えっ!?」
群の後方でのびてた大猿が起き上がった。
そしてなぜか、異常にパワーが上がってる。
オオトカゲやヘビ、ヤマネコっぽいやつも同じだ。
起き上がったらパワーアップしてる!
しばらく観察してて、カラクリというか仕組みが分かった。
頭にGを乗せた動物は、自分より強そうなやつをダウンさせる。この時、集団戦もアリだ。
で、倒されたやつには、どこからか現れたGが乗る。
新たにGが乗った動物は、パワーアップして群に合流する。
そんな感じで群はどんどん強く大きくなってるんだ。
細菌や寄生生物が宿主を強化する話は昔からある。
Gの振る舞いは、まさにそれだ。




