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11.俺、例のセリフで挨拶する

「私、先にみんなに知らせてくるね」

「うん、頼む」

 途中まで一緒だったハーピーは、一足先に住処に飛んだ。

 俺の崖登りはそこそこ速い。でも、ハーピーが飛ぶのに比べたら、相当遅い。

 俺に合わせてると無駄に疲れるだろうから、止める理由は無い。


 クルッ。ペタ。クルッ。ペタ…。


 俺はハーピーの住処に到着した。

「おじゃましまーす」


 中は思ってた以上に広い。

 ホールみたいになってて、奥に何本も通路が伸びてる。


 ホールには大勢のハーピーが待ってた。

 パッと見で50匹ほどかな?

 友好的な雰囲気があふれてる。


 俺が助けた子が一番前。

 その後ろには、ひときわ派手で立派な羽のハーピーが、両肩に手をかけるポーズで立ってる。

 おそらく、群のリーダーだろう。



 それじゃ、お約束のセリフを言ってみよう。リアクションは期待してないけどね。


「ボク、わるいスライムじゃないよ。たすけたハーピーが、しんぱいで、いっしょにきたんだよ」

 これを聞いたハーピーたちは、大慌てでひざまずいた。

「!?」

 さらに、何匹かが奥に走り、仲間を呼んで戻ってくる。

 ハーピーはどんどん増え、最終的には二百を超えるハーピーが跪いた。

 これ、ここに住んでる全員…なんだろうなぁ。


「???」

 リアクションはあった。でも、予想の斜め上どころのレベルじゃない。

 いや、誰かがクスッてしてさ、「まさか君も転生者!?」的な展開は、小数点以下の確率で期待してたよ。

 でも、自分がとんでもなく偉い人扱いされるとは、全然思わなかったよ。


 全身を?マークでデコった気分の俺に、恐縮しまくりなリーダーの声が届く。

「知らぬこととは言え、大変なご無礼を。どうか、ご容赦くださいませ」

「いや、無礼とか容赦とか、全然意味がわからないんですけど?」

「ははーっ。恐れ入ります」

「ですから、恐れ入らなくていいです。それより、なぜいきなり跪いたのか、理由を教えてください」

「ははーっ。それでは、恐れながら申し上げます。貴方様は、アキラ様の血を引かれるお方でございましょう?」

 これは意外。知ってる名前が出てきたぞ。

 うん。祖父じいさんの名前、あきらなんだ。でも、今の俺、血を引いてることになる…のか?

 うーーん、微妙だな。


 嘘はつきたくない。でも、正直に話すとややこしい。考えた末の答えはこうだ。

「ええ。姿かたちは違いますが、俺、確かに子孫です」

「ああ、やはりそうでございましたか」

 ……。

 …俺の答えは、期待通りのものだったらしい。

 これ、何かの偶然…だよね?


「…続けてください」

「貴方様は、この子の言葉がわからなかった。ですが、魔王を倒した後は、わかるようになった。この子からそう聞きました」

 …魔王って、金メッキのこと…なんだろうな。全然弱かったけど。

「ええ、その通りです」

「そして、先程のお言葉。青く輝くそのお姿。間違いございません」

 言われて初めて気が付いた。

 俺の身体、輝くって程じゃないけど光ってる…。

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