99.俺、野菜?も食べますよ
邪魔な根っこを糸で斬り、斬った根っこを悪食で食べながら、俺は地上に戻った。
根っこが通路を全部埋め尽くしてたから、相当な量を食べたと思う。
世界樹は、ダンジョンに入る前と全く変わりがない。
まあ、ひげ根をちょっと切られたぐらいで枯れる木があったら、逆に怖い。
巨大すぎる姿を眺めながら、俺はふと思った。
こいつ、もしかして、異袋の許容量を超えるんじゃね?
そう考えると、暴食にストップがかかったのも納得できる。
ほら、フェニックスを食べたとき、一瞬身体が重くなったでしょ。
これって、フェニックスをマナに分解する過程で、体重の一部が俺にかかったからだと思うんだ。
同じことが世界樹を食べたときに起きたら…、かなり背筋が寒いです。
やっぱ、デカいやつは、それだけで脅威だよね。
『フンッ! 今日のところは見逃してあげるわ』
世界樹が悪態。
このタイミングってことは、俺の動きをリアルタイムで追えてるってことだ。
おそらく、こいつも探知のような力を持ってるんだろう。
だとすると、隕石の落下を事前に察知して対策することもできるわけか…。
だてに無傷だったわけじゃないんだな。
それじゃ、ダークネスムーン・クリスタルのマナを吸収しながら帰りますか。
俺は瞬間移動を使わず、あえてSDGで帰路についた。
いや、今回は南にまっすぐ飛ぶだけだから大丈夫…のはずだ。
☆ ☆
エルフの集落に戻った俺は、ダフネの屋敷に顔を出した。
「ああ、ダール様、ご無事でしたか」
「?」
声に出したダフネ。
安堵の表情の側近エルフたち。
ん?
クリスチーナの姿もある。
これは……俺がいない間にとんでもなく悪い占いが出た流れか?
「心配してくれたことには礼を言う。でも、ご無事ってのは大げさだな」
「それが…」
ダフネとクリスチーナから話を聞き、俺は納得した。
俺が出発した後、クリスチーナは俺を占った。
そしたら、大いなる不滅の存在と戦うという結果が出た。
大いなる不滅の存在と言われたら、普通は神様だと思うよね?
クリスチーナはダフネにそれを伝え、占いを何度も繰り返した。
でも、結果は同じ。
いくら俺でも神様と戦えば結果は…。
俺の無事を神に祈るわけにもいかず、エルフたちは心配してたってわけ。
心配の件は解決したけど、大いなる不滅の存在ってワードはスルー出来ない。
まず、これって世界樹のことだよね。
大いなるってのは、まさにその通りだ。
で、不滅の存在ってのが引っ掛かる。
不滅といえばG細胞。
俺の頭の中では、ゴホン!といえば龍○散と同レベルの扱いだ。
そう。世界樹も元々G細胞持ちだった可能性がある。
ケ○ニアやYR星人なんかは別として、植物は移動できない。
だから、カラスとは逆に、幻の闇水晶が世界樹の近くに落ちてきたんじゃないかな?