10.俺、クライマーになる
クルッ。ペタ。クルッ。ペタ…。
俺は今、断崖絶壁を登ってる。
うん、シャクトリムシ方式を試してるんだ。カタツムリよりいい感じだな。
こんな無茶ができるのも、俺の目が回らないおかげだ。
…ん? 待てよ。これ、シャクトリムシの動きじゃないな。
シャクトリムシだと「にょいーん。ペタ。シュルシュル。ペタ…」だな…。
これは確か…そうだ! スリンキーが階段を下りる動きだ!
俺の親父の世代だと、トムボーイ方式でOKだな。
なんでこんなことをやってるかというと、ハーピーの家に行くためだ。
うん、俺が最初に見つけた洞窟、ハーピーたちの住処だったんだ。
もしもだけど、俺が先にそちらに行ってた場合、この世界の鳥系モンスター全てを敵に回すことになっていたかもしれない。
登りながらであれだけど、その辺の話をしておこう。
まず、俺的には何とも言えないお知らせ。
このあたりじゃ、スライムは悪いモンスターの代名詞でした…。
スライムは1匹じゃ雑魚だけど、数はものすごく多い。
変形自在だから、どこにでも入り込める。
この二つを生かして、弱いモンスターをさらって食べることを繰り返してたんだ。
数十匹で1匹を襲ったり、住処に忍び込んで子どもや年寄りをさらったりと、やりたい放題。
拠点はわかってるんだけど、見えない壁があって入れない。
モンスターたちにしたら、たまったもんじゃなかったと思うよ。
もちろん、野生のスライムにそんな知恵があるわけがない。
それを与えたのが、金メッキだったってわけ。
他にも合体を教えたり、魔法の耐性を教えたりして、スライムをまとめ上げたんだそうだ。
そう、タコもたくさんのスライムが合体してたってわけ。
あり得ない体色してたのも納得だよ。
そんな金メッキの本拠地が、俺が入った洞窟。
転がってた骨は、スライムたちの犠牲者。
ハーピーはさらわれてそこにいて、他のハーピーをおびき寄せるために生かされたらしい。
本当、助かってよかったよ。
で、話を戻すと、子どもがさらわれて気が立ってるハーピーのところへ、何も知らない俺が行ったらどうなったか?
おそらく問答無用で攻撃されただろう。
俺は、やられたらやり返す主義。スライムになった今は、それにターボがかかってると思う。
そうなると、熊破斬を乱発しただろうことは、容易に想像できるよね。
ハーピーは鳥系じゃ有力なモンスター。
そんな一族を全滅させちゃったら、鳥系全ての恨みを買っちゃうって話ですよ。




