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状態異常を振り撒く系の嫌らしい魔王のダンジョン造り  作者: 鈴亜サクサク
異界の知識を持つ魔王のダンジョン造り
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89:小島の遺跡

 海は綺麗だ。

 それは紛れもない事実なのだが、如何せん海しか見るものがないと代わり映えが無くて飽きてきてしまう。

 唯一の会話相手になりそうなチェーもぐっすり眠っていて、起こすのは気が引ける。

 彼女は夜行性であることを自称していたので、自然に起きるのは日が落ち始めてからだ。

 そして今は正午を過ぎた頃。日が落ちるまではまだ時間がある。

 どうすることも出来ない俺は、ただ無心でバイクを走らせることにした。


 ◇


 夕方になって、空が紅く染まり始めた頃に今朝見繕った休憩地点の小島を発見した。

 翼竜の石像が鎮座している遺跡が目印だ。


 「なるほど、確かに人気どころか動物すらもいなさそうね」


 チェーも少し前に目覚めた。

 もっと早く目覚めてくれという願望は口に出さず飲み込んでおく。

 

 「着陸するぞ」


 島の空いているスペースを探して、ゆっくりとバイクを降下させる。

 土埃を巻き上げながらバイクを地面に着陸させて、自分の足が着くようになったらエンジンを切った。


 「さて、これから俺はバイクに燃料を入れるが、チェーはどうする? この島は危険も少なそうだし離れすぎない程度になら好なようにしてていいぜ」

 「分かった。遺跡探索行ってくるー」


 チェーは颯爽と遺跡へと走っていった。

 それを見届けてから作業を始めることにする。



 何故こんなことをしているのかというと、俺の能力で造り出した物を残しておくためには時々魔力を注入しなければなければ、物の大小で違いはあれど、大体半日も持たずに崩れて塵に還ってしまうからだ。

 このバイクだったら八時間持てばいい方だろう。

 更には俺から離れてるかどうかでも塵になる時間が変わってくるようなので、細かいことはよく分かっていない。


 「便利……なんだがこういう時面倒だよなぁ」


 誰にも聞かれない愚痴を溢しながら、バイクに手を当てて魔力を流していく。

 ガソリンみたく給油口から入れる必要はない。

 

 「この辺かな」


 どれくらい入れたかを示すメーターは無いので、感覚で切り上げる。

 入れた魔力の量を知る手段はマジで無いので気持ち多めに入れておいた。

 足りなくて墜落とかするよりはマシだろう。


 作業を終えて、遺跡の方に目をやる。

 

 「ボロッボロだな」


 遺跡を護るようにして鎮座する竜の石像は辛うじて原型は留めているものの、体や翼が欠けて、苔がここぞとばかりに生えている。

 遺跡の入口も少し衝撃を加えれば一気に倒壊してしまいそうな有り様だ。

  

 ただ、この遺跡の中に何が潜んでいるのかという情報は一切無いので、興味はそそられる。

 

 「ちょっとだけ行ってみるか」


 己の興味の赴くままに遺跡へと足を運んだ。

 

 ◇


 遺跡の中は終わりが見えない程の階段が続いていた。

 行きは下りなのでまだ楽だが、帰りが長く段差の急な階段を上らないといけなくなるので考えるのも恐ろしい苦難が待っている。

 なので帰りはチェーに運んでってもらおう。


 「っと、危ねぇ」


 懐中電灯は用意したとはいえ、薄暗いので油断しているとそこら中にある瓦礫とかにつまづき転けそうになる。

 しかし言ってしまえばそれだけで、魔物や罠の危険な物はない。

 遺跡の中に大層な物が無いという考えも出来るが、ここまで来たんだ。何か見つけるまでは進んでみよう。

 


 長い階段をただひたすらに下っていくと、いよいよ終わりが見えてくる。

 壁から水が流れ入っている部分もあり、壁の外は海になっていると予想できる。壁が崩れて海水が一気に入ってきたら大惨事待ったなしだ。


 「結局、カイトも来たんだね」

 「あ、ああ。ここに何があるのかは俺も気になるしな」


 チェーは蝙蝠のように天井にぶら下がっていた。

 ちょっとビビってしまった。

 

 「ははっ、驚いてやんの」


 おまけにからかわれる始末。

 だが俺はそんな悪戯に怒ったりするほど子供じゃないので、気を取り直して残りの数段を降り、下が濡れた回廊を進んでいく。

 すると、だだっ広い空間に出た。

 もしかしたら島の面積より広いかもしれない。


 広い空間の中央には、謎の生物が座っていた。

 謎の生物はドラゴンのような顔や翼を持っている。

 しかし、体には獣のような毛が生えている。

 そしてめっちゃデカイ。


 「……死んでる?」

 「っぽいね。つついても動かなかったよ」


 動かないと分かっていても、正体不明の生物に平然と触れたその勇気には称賛を送りたい。

 

 一通り見渡したところ、この空間には謎生物がいる以外には何もなさそうだ。

 ここに滞在する理由もないので、そろそろ引き上げよう。


 「そんな訳でチェー、帰りは運んでってくれない?」

 「ケッ、しゃあないな」

 

 チェーは俺を担いで降りた階段を今度は飛んで戻っていく。

 天井スレスレを飛ぶので内心ではヒヤヒヤしていた。

 

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