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状態異常を振り撒く系の嫌らしい魔王のダンジョン造り  作者: 鈴亜サクサク
異界の知識を持つ魔王のダンジョン造り
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88:スカイツーリング

 空を飛ぶバイクは村から南東に、アウルレアがある方向に一直線に猛進している。

 俺達が走っている高さにまで至る木や建物等の障害物は存在せず、共に飛んでいる鳥達もバイクを恐れたのか近付いても向こうから避けてくれる。

 なので本当に真っ直ぐ進むだけなので、地図すら持ってきていない。

 

 バイクの操作感も地上を走るバイクと大差無いので、よっぽど無茶な運転でもしなければ事故ることは無さそうなのは安心だ。

 ならば、元いた世界では誰にも出来なかったであろう空中ツーリングを楽しもうではないか。


 「このバイク……だっけ? 中々速いね。私には及ばないけど」


 後ろに乗っているチェーが欠伸混じりに呟いた。

 今このバイクは警察がいたとしたら法定速度超えで確実に取っ捕まるスピードで走っている。

 それでも彼女がこう言い切るのは自分の方がもっと早く飛べるという自信があるからだろう。

 少し悔しいが、バイクの方がスピードが劣っているのは紛れもない事実だ。


 「悪いがこれ以上速くは出来ん。なんなら自分で飛んでても構わないぞ」

 「んー……せっかくだし空での昼寝でも楽しむよ。着いたら起こせ」


 黒い翼が俺の体を巻き付くようにして掴む。

 その途端にスースーと寝息が聞こえ始めた。

 

 「眠るの早すぎんだろ」


 時間にして約三秒。

 こんなにすぐに眠れるのはちょっとだけ羨ましい。


 ◇


 快適な空のバイク旅はいよいよ海を渡る段階にまでやって来た。

 それに伴って風も強くなってくる。

 しかし、やることは変わらず。まっすぐ走るだけだ。


 ただ、ずっとバイクを運転していて疲労も溜まってきた。

 一休みしてから海を渡ることにしよう。

 

 ゴーグルを外し、ハンドルから手を離して軽く手をほぐす。

 バイクは操作しなくても高度を維持したまま浮き続けている。

 なので墜落とかの心配はせず、チェーのポーチから桃を一つ取り出して齧ることにした。

 程好い甘さと水分が飢えと渇きを癒してくれる。

 この桃は結構な頻度で食べているが、それでも飽きるのはまだ先になりそうだ。

 

 「海……綺麗だな」

 

 眼前に広がる穏やかで青く透き通った海。

 これ程までに綺麗な海を最後に見たのはいつだったか。

 いまいち思い出せない。


 「それはどうでもいいか」

 

 問題は目の前に海があって、俺はどうするかという話だ。

 潮風があるとはいえ、暑いことには変わりはないので泳いでやろうか。そう思ったが海岸に蜥蜴のような生物の群れが闊歩しているのを見つけて思い止まった。

 正体不明の生物を横目に泳ぐ勇気は俺には無い。


 「まぁ海なんていつでも来れるし」


 休憩を終えて、再出発する。

 海遊びは次の機会にってことで。

 その時はエリー達も連れてこよう。


 桃の種を投げ捨てて、バイクのハンドルをひねった。

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