86:変革の時
「おい、ドラミク。まさか新たな魔神王を決める大決戦に参加するつもりだったりするのか?」
「当たり前じゃない。私みたいな新たな魔王が頂点に立ったら、とっても目立てるわ!」
「確かに目立ちはするだろうけど……」
ドラミクに一度敗北している俺が言うのもおこがましいかもしれないが、これだけは言っておく。
「流石に無謀が過ぎる。やめた方が得策だと思うぞ」
「もしかしてあなたは巻き込まれないと思ってる?」
間髪入れずに言い返してきた。
しかし、彼女の言い分も間違ってはいない。
自分から攻撃を仕掛けないにしても、他の魔神王の座を目指す好戦的な魔王から攻撃はされるだろう。
遅かれ早かれ、最終的には大決戦に巻き込まれるのだ。
だからといって、戦争の火種の中に飛び込むような無謀な真似はしないが。
「勿論、無策で突っ込むつもりもないわよ。前にあなたから勝ち取った力もあるし、協力を頼める魔王の当てもあるしね」
「そうか。まぁ頑張れよ」
これ以上口を挟むのは止めた。彼女の決断を止める義理はない。
「なぁ、二人とも。ちょっといいか?」
代わりにスパンダが俺達の会話に入ってくる。
「何かしら? 心配事なら無用よ」
「それもあるが、一つ気になる事があってな」
「勇者だとか人間の味方の魔王を放っといて、新たな魔神王を決めるのかって事か?」
「そうだ。タイミングが変じゃねえか?」
その疑問を持っている魔王は他にもいた。
既に誰かがサキュバスに質問していたらしく、答えを知れるのはすぐだった。
「そいつらはあなた達で対処しなさい! 魔王の改革の為の試練として乗り越え己が弱者ではないことを示すのよ!」
求められたのは超高難易度の試練の突破。
そこいらの魔王よりも強い魔王と魔神王を討ち果たす力を持った勇者。
現在、戦うことになったら勝てる算段は全くない。
交渉は……村の人達に協力してもらえればワンチャンあるかも知れないが、魔王を匿ってるとバレた時が怖い。
「大人しく戦うしかねえのか……」
「あら、この私と同格だというのに随分と弱気なのね。助けてあげましょうか?」
「お前に助けを願ったら魔王戦争に巻き込むだろ。嫌だよ」
「それもそうね」
クスクスと、上品に笑われる。
曲がりなりにも彼女は姫なんだと再認識する。性格はアレ過ぎるが。
「こっちはこっちで助け合ってくよ。てことでスパンダ、魔王集会が終わったら一度合流しようぜ。強敵と戦うには数を揃えるのが一番だしな」
「戦う前提か。カイトもドラミクみてえに結構好戦的だよな」
失礼な。
この気狂い竜姫と一緒にされたみたいで気分が悪い。
「ちなみにスパンダ、お前のダンジョンってどこにあるんだ?」
「アウルレアって国の近くだ」
聞いた事の無い名前だ。
少なくとも村の近くにあるような国ではないな。
「分かった。その国に集合な」
「遊びに行くみたいなノリだが、もしお前のダンジョンから滅茶苦茶遠い場所だったらどうすんだ?」
「その時はその時。移動手段だけは腐るほどあるから何とかする」
集会が終わったらすぐに国の場所を調べてすぐにスパンダと合流する。
今の状況だど一日遅れただけで手遅れになってもおかしくはない。
今朝までは残っていた疲労感などとっくに吹き飛んでいた。




