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状態異常を振り撒く系の嫌らしい魔王のダンジョン造り  作者: 鈴亜サクサク
異界の知識を持つ魔王のダンジョン造り
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プロローグ:彼岸花の咲く黄泉から

あけおめ

 死後の世界。所謂あの世というのは漫画だったりゲームだったりの空想の世界だと思ってた。

 しかし今現在。深い闇に沈みに沈んだ末にたどり着いたのはそれらしき場所。

 明るい青緑色の空に彼岸花が咲き乱れる草原。

 見渡す限りに広がる空間にいるのは俺ただ一人。

 たまに吹く冷たい風が散らす彼岸花の花弁や草むらが唯一の動く物だ。

 

 「デモン達は無事かなぁ」


 寂しさを紛らわす為に声を出してみたが、返答もなく寂しさが拭える事はない。

 しかし、返答がないのはデモン達は無事であることを裏付けている。

 ひとまず彼女らが生きているであろう事実に一安心。

 

 「で、こっからどうすりゃいいんだ?」


 あの世らしき場所とは言ったが、本当にここが死後の世界なのか。

 まだ意識があり、見えるし聞こえるしで、もしかしたらあの世とは違うのかもしれない。

 自分が生きているのか死んでいるのかも断定出来ないのだ。

 何も分からない状態で、当てもなくさ迷う訳にもいかないし、しばらく待ってみる事にする。


 ただ、この風の音しか聞こえない静かな世界にずっと一人だとその内、気が狂ってしまいそうだ。

 誰かいないのかな。


 「やぁ、モミジ君。調子はいかがかな?」

 「うわぁ!?」


 誰かいないかと願ったが、いきなり来られるとびっくりするだろ。

 思わず叫んでしまった。

 

 とりあえず気を落ち着かせて、この声の持ち主を記憶の中から探る。

 どこか間の抜けた老人の声。

 その情報は姿を思い出し、判断を下すには十分だ。


 「魔神王。何でここにいるんですか?」

 「君と同じ理由だよ」


 勇者に倒されたはずの魔神王。

 俺と同じ理由って事は敗北した後、死んでしまったのだろう。

 

 この人の実力は知らないが、全ての魔王の上に立つ以上、相当な実力者であることは間違いない。

 そんな人を倒した勇者と、その勇者と対抗に渡り合っていたデモンの実力はどれ程なのか……。見当がつかんな。


 「さて、モミジ君。君はここにいて何か違和感を感じないかい?」

 「……元々の状態が分からんのでなんとも」

 「ハハハ、それもそうだな」

 

 魔神王は遠くにまで聞こえそうな大声で笑い出す。

 それをうるさいと咎める者はいない。

 ひとしきり笑った後、問いの答えを教えてくれた。


 「僕とモミジ君以外に誰もいないんだ。普段なら僕らみたいな死んだ命が溢れる程にいるはずなんだけどね」

 「たまたま……って事はないんですか」

 「それはあり得ない。僕がここに来たときには既にすっからかんだったよ」


 俺はその答えを聞いて、少なくとも何か異変が起きているのは分かったが、それが大事なのかそうでもないのか分からんので、ふーん位にしか思えなかった。

 もう死んでるからこれ以上危ない目に遭わないだろうという楽観的な考えが出来ているからだろうか。


 「そしてちょっと調べたけど僕達に出来ることは無さそうだし、今は死神さんが来てくれるのを待つしかないんだ」

 「ちなみに死神が来るのにどんくらい待たないといけないんすか?」

 「分からない。ただ、待つ間の暇潰しは用意できてるよ」


 そう言って、魔神王はワープする時とかに使っていた黒い液体で薄いテレビのような物を作り上げた。


 「もうじき君と同じ星のカイト君と、前に言った人間の味方の魔王の戦争が始まる。世界の命運が変わるかもしれない一戦、あの世から見物させてもらおうじゃないか」


 液晶テレビならぬ、液体テレビに中央に大木がそびえ立つのどかそうな村が映し出された。

 そこに歩いている一人の青年。

 彼が【異界の知識保有者】カイトだ。

 その姿を見るのは随分と久しぶりに感じる。

 

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