表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/121

69:鳥の悪夢

 デモンは窓を通る時に俺の背中に腹這いになって、俺をしっかり抱き抱える。

 そして勢いを落とさずに滑空して、窓を抜けた。


  「うわ、怖っ」


 眼下には暗い闇が広がっていて、下がどうなってるのかが分からない。

 だが、もしデモンに手を離されたらどうなるかは一目瞭然だ。


 「助けを求める人間が待っている!」


 街には明かりとあちこちで上る土煙。

 もうすでに魔物が侵入しているようだ。


 デモンは一直線に街へと飛んでいく。

 小学生並みの小さい体で俺を持ったまま飛んでいるが、よくよろけないもんだ。


 『ケェェェ!』


 飛んでる途中、何匹か鳥が襲い掛かってくる。

 デモンは右へ左へと避けるが、鳥達の攻撃は止まらない。

 なんなら数が増えていき、段々攻撃が激しくなっていく

 まずいな、俺がなんとかしなければ。


 「デモン、上に飛ぶんだ!」

 「分かった!」


 鳥が離れた瞬間を見計らって、飛ぶ向きを真上に変える。

 急に体を引っ張られる感覚に吐きそうになったが、堪える。

 肝心の鳥達は俺の作戦通りにデモンが飛んだ後を束になって付いてくる。

 まとまっている所に両手から放つ毒液による範囲攻撃。


 『ゲギャアァ!』


 毒液を浴びた鳥は苦しそうに声を上げながら真っ逆さまに闇の中へと落ちていく。

 どうやらこの下は海だったようで、鳥が落ちた事による水の跳ねる音が何回も聞こえた。

 その直後には骨の砕ける音や、鳥の断末魔、血に飢えた獣の叫びが辺りに響く。

 まるで地獄だ。


 「モミジ! まだ残ってるよ!」


 闇の中からなる音のインパクトが強すぎて、大事な事が頭から離れていた。

 だいぶ数は減ったものの、毒を耐えた強そうな鳥が残っている。

 その内の一羽が羽を矢のように飛ばしてきた。


 「わぁっ、危ない!」


 それをデモンは回転しながら避けた。

 回転直後の隙を突いて追撃までしてくる。

 しかし何の捻りもなく突っ込んでくるだけなら好都合。


 「おらっ! 落ちろ!」


 もう一度、毒液を浴びせてやる。

 しっかりと狙いを定めれらなかったが、突っ込んできた大多数に毒液は当たる。

 しかし、それで落ちていったのたったの三匹。

 中々にしぶとい。


 「こっからどうするんだ?」

 「もうこのまま街に向かおう。そこで俺を降ろしてデモンが戦った方がよさそう」


 デモンは軽く頷き、追ってくる鳥を無視して街へと飛ぶ。

 

 情けないことこの上ないが、俺の素手でできる唯一の技である毒を耐えられるとその時点で詰みだ。

 一応、病を起こさせる事も可能だが、効果が出るのがめっちゃ遅くて実戦だと使い物にならん。

 街へさえ行ければデモンも戦えるだろうし、武器屋から得物を借りてこれば俺も毒以外の戦闘手段を持てる。

 俺が役に立つかは知らん。

 

 ◇


 街へ向かうと決めてから到着するまでに大して時間は掛からなかった。

 移動中に力尽きた鳥もおり、既に両手で数えられるまでには減っていた。


 デモンは適当な建物に着陸して俺を降ろしてから、鳥を迎え撃つためにまた飛び立つ。

 黒い霧やリンプンを撒き散らし、鳥を翻弄しながら一匹、また一匹と地に落としていく。

 俺は蝶のように舞い、蜂のように刺す戦い方にうっかり見とれていた

 

 「よっし、こんなものだね」

 「おぉ~。やるな」

 

 数分で追跡してきた鳥を全て倒してしまった。

 だが、これは街に入ってきた魔物の一握りにしか過ぎない。

 紅い月の下の戦いは始まったばかりだ。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ