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63:到着!サイルマード王国

 さっきの魔物の襲撃以外はトラブルが起こることもなく、夕方頃にはサイルマード王国にたどり着いた。

 もう辺りは暗くなり始めている。

 

 王国を囲う城壁は暗くて遠くまでは見えないが、見える範囲だけでも巨大で圧倒される。

 城壁の中に入るための門の前には見慣れ……てはないが、見知った顔の女性がいた。

 

 「レッシェじゃん。久し振り」

 「長旅ご苦労だったね。魔王」


 女戦士のレッシェだ。

 今日の彼女は鎧ではなく、緑を基調としたおしゃれな服を着ていた。

 こうして見ると彼女も中々に美人だな。


 「話は移動しながらしようか。王が首を長くして腹も空かせて待ってるからな」

 「腹は空かせる必要はねーでしょ」


 レッシェを馬車に乗せ、門でオーエンが色々と手続きを終えるといよいよサイルマードの城下町へと入っていった。



 城下町の街並みはさっきの街と比べても大差は無いように思える。

 道幅はこっちの方が広いかな。

 しかし、街灯や建物の窓から漏れる明かりによって照らされる街並みは、どこか幻想的な雰囲気があった。

 遠くには月を隠すようにしてそびえ立つ城も見える。

 時間があれば夜の街の観光もしてみたいものだ。


 そんな街を進んで、噴水のある広場に着いた所で、立ち止まった。

 

 「さてと、俺達の大半はここでお別れだな。後の案内はレッシェ嬢、頼んだぞ」

 「任せなさい」


 どうやらオーエン達は馬や装備を預けてくるとかで馬車の操縦者以外とはここで別れるようだ。

 半日にも満たない時間だったが、俺達をしっかり護衛してくれたのには感謝しないとな。


 「おじさーん! またねー!」

 「俺はおじさんではない。まだ二十代だ」

 「マジで!?」


 去り際に衝撃の事実が告げられる。

 パッと見、兵士団の中で一番年を取ってそうだし、勝手に四十超えてると思い込んでた。

 二十代であの顔はヤベぇだろ。

 

 「やっぱりそうなりますよね……。自分の方が年上だというのを今も信じられませんよ」


 馬車の操縦者がオーエンに聞かれないように小声で同情の言葉をくれた。

 やっぱり人を見た目で判断するなって事だな。

 心に留めておく。

 

 ◇

 

 城に向かう馬車から立ち並ぶ建物に目をやると、剣や盾が描かれた看板を掛けた建物が目立って多い。

 多分武器とか防具を扱う店なのだろうが、こんなに要らんだろとは思う。

 

 「なぁ、やったら同じ店があるけど潰れたりはしないのか?」

 「大丈夫らしいよ。王から支援金をもらってるんだとさ」

 「へぇー、いい人じゃん」

 「あぁ……。そうだな」


 はっきりしない返事が返ってくる。

 

 「もしかして裏で何か悪事を働いているとかある?」


 例えば戦争をしている国に武器を売り付けて、戦争を裏で操ってるとか。

 今からやろうとしている魔王の俺との話し合おうというのも実は世界支配の為の計画だったり?


 「いや、それはない。普通にいい人だよ。ただ、筋骨隆々で戦うのが好きな人だ」

 「なるほどな。何となくキャラ把握したわ」

 「私も止めるつもりだが、もし戦う事になったら……頑張ってくれ」

 

 もしかしてこの国、ヤバイ人しかいないんじゃないか?

 

 「アラクネー! 戦うの楽しみだな!」

 「そうですね。どんな強者なのか楽しみです」

 「戦うのはいいけど、王を再起不能にまで追い込むとかは止めろよ?」


 正当防衛と言い訳は出来るだろうが、相手は国の王だし洒落にならなさそうだから戦うとしても程ほどにね。

 

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