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6:魔王集会 入場

 タンスの中に入っていた着替え。

 それは医者とかが着ている白衣をそのまま黒く染めたような物だった。


 特徴としては黒色の生地に、上着には青色の蝶の羽根のような模様、ズボンには白色の蜘蛛の巣状の模様がある事。


 俺は早速ボロ布から着替えてみた。

 着心地は思ってたよりいい。

 さっきまでボロ布を着ていたせいもあるだろうか。


 この部屋にはドレッサーも設備されていたので今の自分はどんな感じか確認してみる。

 ……何か色々と足りない気がする。

 身長とか雰囲気とか。


 「モミジー、さっきより悪そうに見えるぞー! かっこいいな!」


 デモンはお菓子を食べながらかっこいいと言ってくれた。

 優しいなぁ。(しみじみ)


 さ、脱いだボロ布をタンスにしまってから俺も菓子を頂くとしよう。


 ◇


 それから一時間は経った?

 時計を一切見てないので正確な時間は分からない。

 入口の扉が開かれた。


 「モミジ様、準備が整いました。どうぞこちらへ」


 サキュバスが迎えに来てくれた。

 どうやら魔王集会が始まるようだ。

 そういえば何をするのかは説明が全く無かったな。

 このサキュバスに聞いてみよう。


 「なぁ、魔王集会って何をする場なんだ?」

 「えぇと、毎回目的は違いますが、今回はあなた方新たな魔王様達の歓迎会です」


 そうなのか。

 だったらそんな気張らなくてもいいか。


 「あ、そうそうモミジ様。入場する際には何か魔王様達を盛り上げる一芸をご用意ください。では時間も少ないので手早く転送をいたしますね」

 「えっ、ちょまっ」


 本当に手早く転送された。

 ここは花道のような一本道っぽい。

 そして今回は俺一人。

 デモンが居ない。


 奥には光が見え、ざわざわと騒がしい。

 あれが会場なのだろう。


 俺は一つ深呼吸をする。

 さっきの一芸を用意してくださいってなんだ?

 どんな感じでやればいいんだ?

 悩んでいると外から大歓声が上がった。


 「ごきげんよう、魔王諸君! それと歓声ありがとう!」


 少女の叫び声が響く。

 あぁ、始まってしまったようだ。


 「ではさっさと新たな魔王達に入場してきてもらおう! まず最初は【魔導音楽ミュージシャン】リズミカ!」


 そしてドラムの音と共に、大歓声が響き渡った。

 なるほど、自分の能力を活かした一芸をするんだな。


 「続いて【ドラゴンプリンセス】ドラミク!」

 「グオォォォン!」


 獣の咆哮のような叫びと共に大歓声。

 ……派手な事やってるんだろうな。

 俺の能力でこんな派手な演出は無理だろ。

 

 いや、悩んでいる暇はない。

 俺が出来ることを考えなければ。


 「次! 【植物を操る緑の魔女】ローレ!」


 今度の大きな音は歓声のみだった。

 ここでちょっとハードルが下がったように感じた。

 良かった、さっきまでのが派手過ぎたんだな。


 ……そうだ、ダンジョンの罠を作った時に使ったが、俺の毒は紫色のTHA毒という物だった。

 これをどう使うか。


 「どんどんいくわよ! 【鉄器兵の建造皇子】ガタル!」


 機械音と大歓声。

 

 そして俺の一芸が完成した。

 毒を蛇の尾の形にする。

 それに俺が取り込まれ、毒蛇男の完成だ。

 派手さはないが、これしか思い付かなかった。


 「折り返し! 【病毒を振り撒く高校生】モミジ!」


 それにもう出番のようだ。

 俺は意を決し、蛇の体を動かす。

 不思議な事にするすると進んでいった。


 ものの数秒で俺は数多の魔王が見つめる舞台へと降り立った。

 それと同時に魔王達の歓声が響く。

 良かった、思ったより上手くいった。

 少し緊張がほぐれた。

 

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