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57:馬は森林を駆け抜ける

また久しぶりの投稿です。

多分次も久しぶりの投稿って書くと思う

 ダンジョンが見えなくなるまで草原を進んで行き、森林が見えてきた所で一度立ち止まった。

 そしてオーエンを乗せた馬がこちらに歩み寄ってきた。


 「この森を抜けたら中間地点の街に着くぞ。若干地面が荒れてて揺れるかも知れんが、まぁ気にすんな」

 「えぇー? 俺結構車酔いするんだけど大丈夫か?」

 「魔王だし問題ないだろ」


 オーエンは笑いながら答える。

 吐いても知らんぞ。

 

 さて、この森。前に涼みに行った森とはまた違う森だ。

 前の所はダンジョンから北の方角にあったが、今回は南の方角にあり、ちょうど真逆の位置関係にある。

 繋がってるという可能性はあるが。


 「よし、進め! だが余り速く走るなよ」


 オーエンの指事と同時に馬が走り出し、俺達の乗っている馬車も動き出す。

 出発前の念入りの確認だったり、今の注意から察するにオーエンはあの体格で心配症なのだろう。

 だとしたらギャップが凄い。


 森の中は太陽の日差しが当たりにくい分、外よりは多少涼しい。

 しかし地面が悪く、出っぱりか何か乗り越えるのか、よく馬車がガコンと揺れる。

 これが続いたら少しヤバイかもしれない。

 

 「モミジさん、モミジさん」


 アラクネが小声で呼んできた。

 振り向いてみると、天井の布を支える骨組みをしっかりと握って揺れる馬車に体をぶつけないように耐えていた。

 

 「その体勢キツくないか?」

 「大丈夫です。そんな事より……」


 アラクネは外に視線を向ける。

 

 「モミジさんはこの人達、更にはあなたを呼び寄せたサイルマード王国を信用してますか?」


 その言葉にどう答えるか少し悩んだ。

 確か俺の元の世界の話が聞きたいってのが王国の目的だったよな。

 だが、その用件は嘘で俺達を誘い込む罠だという可能性もあるわけだ。

 そう思うとこの兵士達が怪しく見えてくる。

 魔王の俺を討ち取る為に騙したのではないかと感じて来た。

 王国に行くのに合意したのは非常に軽率だったかもしれない。

 それを悔いても手遅れでしかないが。


 「私は大丈夫だと思うぞー」

 

 悩んでいたらデモンが前を向いたまま口を出してきた。

 

 「根拠とかはある?」

 「ない! だけどこいつらが悪い奴等だったら全部倒せばいい!」


 いつものように元気な声で答えてくれる。

 しかし今はもっと静かにして欲しかった。

 聞かれたくない会話が聞かれてしまう。


 「あー、魔王殿。申し訳無いのですが先程の会話、耳にしてしまいました」

 「どの辺から?」

 「……小声で話していたところから全てです」


 それ以前の問題だった。

 最初から馬車の操縦主に聞かれていた模様。

 これでこの人達がいい人だったら気まずいぞ。

 今でさえ、嫌な沈黙が漂っているし。

 

 「し、心配は不要ですよ? 国王があなたと話がしたいというのは嘘じゃありません!」


 沈黙を打開しようとしてくれたのか、ぎこちない口調で騙す気持ちはない旨を伝えてくれた。

 だけどこのぎこちなさが更に怪しさを増させる。


 「お前ら! ちょっと止まれ!」

 「あ、ほ、ほら、外で何かあったようですよ! 見にいきましょう?」


 さっきまで通ってきた道よりは広めの空間で馬車は止まった。

 微かにだが、鉄のような匂いがする。

 意識しないと分からない位だ。

 外ではオーエンと何人かの兵士が集まり何かを話していた。

 俺も気になるので、デモン達と共に馬車を出てその集まりに入ってみた。


 「何かあったのか?」

 「ん? あぁ、見てみろ」


 オーエンに促され、件の地面を見てみる。

 そこは枝が踏み折られ、赤い跡が付いており、辺りにも飛び散ったように赤い跡が付いている。

 この赤いのは血だな。

 もう黒ずんでるしちょっと前に付いたものだろうか。


 「この赤いの、強い魔力を感じるぞ!」


 デモンが血痕を一目見てこう判断した。

 合ってるのかそうではないのかは俺には全く分からない。


 「ちなみに、その魔力はどんな感じがするんだ?」

 「んー、この森と似たような感じかー? ていうかちょっと前にこんな魔力の奴がいた気がするぞ!」

 「それってゴーロンゾの事ではないかしら?」

 「あー! それだ! アラクネかしこーい!」

 

 確かゴーロンゾって勇者の襲撃で死んだんだよな。

 だとするとこの辺襲撃があったって事だ。

 ダンジョンから近い場所とは言えないが、決して歩いてこれない距離でもない。

 やはり魔神王が勇者を倒してくれていることを祈るばかりだ。


 「待て待て。ゴーロンゾって誰だ?」


 おっと、オーエン達を置いて話を進めてしまった。

 軽く説明しなければ。

 

 「魔王だな。この前こいつと後二人が俺のダンジョンに来た」

 「なるほど。だったらそんなに詳しく調べる必要もなさそうだな。お前ら、引き上げるぞ!」

 「え? それでいいのか?」

 「あぁ、魔王だったら死体も残らんし、調べるもくそもねぇからな」


 魔王って死体残らんのか。

 そういやダンジョンの侵入者によって結構な数の虫達が殺されてるはずだが、それの死骸が残ってるのって見たことないな。


 「ってことは、墓にも入れないって事じゃん」

 「ハハッ、そうだな。さ、お前らも戻れ戻れ」

 

 オーエンに促され、再度馬車に乗り込んだ。


 「よし、進め! もうすぐ中間地点の街だ!」


 先程と同様、何頭かの馬の先導の元、馬車が進むといった感じでこの場所を後にした。

 

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