56:サイルマード王国に向かおう
久しぶりの投稿、新章です
「モミジさん、サイルマード王国の兵士達が魔王に会いたいと来ていますがどうしますか?」
レッシェ達と別れてから一週間位経っただろうか。
カレンダーとかが無いので正確な日にちは分からない。
ともかくサイルマード王国の兵士って事は目的はあれしかないだろ。
「丁重に迎えてやろう。通してやれ」
ちょっと豪華な椅子に座って魔王らしく偉そうな姿勢を取りながら言ってみた。
何と言うか、威厳が全然足りないな。
もっと魔王らしさも磨かなければ。
「だ、そうですよ、オーエン団長さん。入ってきて下さい」
「邪魔するぞ」
アラクネが手招きすると厳つい黒鎧を装備した大男が部屋に入ってきた。
無骨な髭を生やした顔も強者感を倍増させる。
声が低い事もあってぶっちゃけちょっと恐くもある。
「レッシェ嬢から聞いてはいたが、やはり小柄な少年にしか見えんな。このまま街に繰り出しても魔王とは思われなさそうだ」
「それは俺に対する挑発と見ていいのか?」
小柄と言われて少し腹が立ったのでつい口にしてしまった。
「おっとすまない。気に障ったのなら謝罪しよう」
頭を少し下げて謝ってくれた。
色々おっかないが、意外と優しそうで少し安心した。
オーエンは頭を上げると腰に掛けていた革袋から一枚の紙を取り出した。
「これはサイルマード国王からの伝書だ。軽く目を通してくれ」
オーエンは紙を差し出してくる。
それを受け取ったが、彼の手の大きさに驚いた。
もしかしたら俺の手の二倍くらいの大きさはあるんじゃないか?
で、伝書の方だが見たこともない字で書かれていて読めない。
かと思ったが、内容は普通に理解出来る。
何で?
肝心の内容は『あなたの世界の話が聞きたいです。もてなす準備も出来てるので是非来てください』的な事が書いてある。
もちろん行く。
前にレッシェには行くと言ったので行かなかったら嘘つきになるからな。
何なら彼も俺が来る前提で来てそうだし。
「よし分かった。行こう」
「了解だ。馬も用意してあるし、すぐに出発できる」
「あ、そうだ。デモン達も一緒に連れてっていいか?」
「こっちは構わんが、ダンジョンの警備とか問題はないのか?」
今までの経験からすると大丈夫。
ダンジョンに訪れる侵入者も少ないし、その侵入者もデモン達が出撃しなければいけない所まで攻略してきた者はいない。
だからまぁ大丈夫だろうという判断だ。
「大丈夫だと思うよ?……多分」
「……見張りを置いて侵入禁止にしとくか?」
「あ、お願いしまーす」
これはありがたい。
心配事は無くなったのでデモンを迎えに行ってすぐ出発しよう。
「アラクネ! デモン迎えに行くぞ!」
「おっと、その必要は無いようですよ」
「私、登場!」
デモンがアラクネの後ろから顔を出す。
いつからおった。気付かんかった。
「モミジいるところに私あり! 私も行くぞー!」
俺が聞くより早く答えを出してきた。
羽をパタパタさせ、いかにも楽しみという状態を表している。
「と、いうわけだオーエンさん。こっちの準備も出来た」
「どういう訳かは知らんが、準備良しならさっさと出発するぞ。昼には中継地の街に辿り着きたい」
確かレッシェは片道一日掛かるって言ってたな。
しばらくはダンジョンを留守にすることになるか。
「じゃ、行ってきます」
俺達はダンジョンを後にする。
◇
ダンジョンの外には数頭の馬とオーエンの鎧よりは厳つくない鎧を装備した兵士が数人いた。
それと俺が想像していた物とそっくりの馬車。
ゲームとかにも出てきそう。
「魔王達は馬車に乗ってもらおう」
「三人入るか?」
「心配は要らんぞ。結構広いからな」
デモンは我先にと馬車の中へと乗り込む。
その次に俺、アラクネの順で馬車に乗り込む。
オーエンが言ってた通り、中々に広くて余裕で俺とデモンは余裕で乗り込めた。
しかし、アラクネは屈まないと天井に頭をぶつけてしまいそうだ。
デブだからとかではなくこの女性+蜘蛛の体型的に。
前に椅子があるが、アラクネには座れなさそうだし、俺達で座っていいかな。
「お前と……あとお前も。お前らはここの見張りの為に残って屋敷の中に人が入らないようにしろ」
「「了解です!」」
外ではオーエンが他の兵士達に指示を出し、兵士達はそれを聞いてテキパキと動く。
外は暑いのに御苦労様ですわ。
馬車の中も蒸し暑くてたまらんが。
幸い窓はあるので、走り出した時に吹く風に期待しよう。
「馬の状態よし、鞍と手綱の状態もよし、馬車の状態もよしっ。準備は出来た。出発するぞ。」
念入りな点検の後、数頭の馬が走り出し、それに続いて俺達の乗る馬車も動き始める。
馬車は初めて乗ったのでかなりワクワクする。




