55:祝勝会だ!
「えぇと、これで説明は終わりですね。何か質問はございますか?」
「あ、そうだ。肝心の勇者って今どうなってんの?」
「その件ならご心配なく。魔神王様直々に勇者討伐に向かいました。ま、勇者が死ぬのも時間の問題でしょうね」
なら安心……なのか?
ゲームやラノベの常識なら勇者は魔王を倒すものだ。
仮に魔神王が勇者を倒す事が出来たとしてもしれっと生きていて、鍛練を積んで再度挑みに来るとか普通にあり得そうなんだよなぁ。
とにかく、これではい安心ですねとなっては駄目な気がする。
警戒は怠らないようにしよう。
「では私はこの辺で。何か御用がありましたらいつでも魔神王屋敷にいらして下さいね」
「ちょっと待って。そこはどうやって行くんだよ」
その質問に答えるよりも早く、サキュバスは居なくなってしまった。
帰るために入っていった黒い液体も一滴たりとも残っていなかった。
「今日は慌ただしい日でしたね」
暫しの沈黙の後、アラクネが口を開く。
確かに今日は色々予想外の事はあって慌ただしかった。
しかし、今こうして無事に生きている。
これは非常に喜ばしい事だ。
そして不戦勝ではあるが、初の魔王戦争は勝利を収めたのだ。
ならば祝勝会をやらない理由は無いよな?
「よっし、レッシェ達も呼んで何か食おう!」
「何食べるのかー?」
「……肉食べたいな」
「肉か! 私も肉は好きだぞ!」
デモンも同意してくれた。
じゃあさっさと準備して祝勝会を始めよう。
◇
祝勝会は二階のコドラやブラッドウルフを配置した部屋で行う事にした。
六人と二十匹のそこそこ大規模な祝勝会になったが、部屋が窮屈なんて事は無かった。
ただ、祝勝会とは言ったが人魔混じってワイワイとDPで購入した肉や酒、その他の料理を食べる事しかしていない。
酒は俺がちょっと飲んでみたいという興味本意で用意してみた。
誰にも咎められなかったので問題は無いよな?
ぶっちゃけ何も祝っていない。
楽しいから良いけど。
しかし祝勝会を行ったことで、知れた事もあるので決して無意味ではない。
まず捕虜二人の名前を知れた。
ちょっとでかくて坊主頭の方がガンドラで、丸眼鏡を掛けている方がドサンドと言うらしい。
二人とも良い感じに日焼けしている。
どうやらこことは別の大陸にある砂漠出身で、そこで暮らしていたら皆自然と日焼けするんだとか。
教えてやったんだから魔王についての情報も教えてくれとねだられたが、知らないのできっぱり断っといた。
俺も知らないんだから仕方ないんだ。
あと、昨日採ってきた赤くて棘々した果実について。
あの状態でもう熟しているとの事。
味は今一つだが、栄養価は高く遠出する際に持っていく人も多いという。
時間があったらもう少し採りに行きたいと思う。
そんなこんなで祝勝会は昼から夕方まで続き、人間組は帰って行った。
レッシェは帰り際、
「まぁ、お前とはすぐに再会するだろうな」
と言ってダンジョンを出ていった。
ちょっと前、サイ何とか王国の王が俺みたいな異世界人を探してるとか言ってたし、その流れで再会するんだろうな。
四章はこれで終わり。五章が始まる前に閑話を何話か投稿します。
あと、お酒は良い子も悪い子もその中間の子も二十歳になってからね。




